魂のひと皿
素材に命を吹きこむ著者:𠮷野 建

はっきり言おう。フランス料理のベースと、おいしいソースをしっかり身 につけていれば、世界のどこでも勝負できる。あとは、それぞれの魂を どう入れていくかだ。
現在の私は、パリ暮らしの疲れがとれ、日本のリズムにも慣れて、新し いことをする体力と気力が漲っている。そんな時期の料理をまとめたい と考えたのが、本書をつくるきっかけだった。素材に命を吹きこむべく、 魂をこめたルセットも余すことなく記している。

判型:A4判
ページ数:
発行日:
ISBN-13:9784751113707
定価:本体 6500円+税

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はじめに
日本の各地から、そして海外からも、日々届けられる素材を前に、私は いつも自問自答する。
「さて、どうやって料理したら、命を吹きこめるだろうか」
目で見て、手でさわり、臭いを嗅ぎ、味わっているうちに、一種の化学 反応が起こって、なにかが生まれ出る。
私は古典料理を書物からずいぶん学び、フランスの地方を旅しては郷土 料理の見聞を深めて、頭のなかの引き出しを増やしてきたものだ。そう して蓄えたすべての知識と体験は、自分のものではあるが、自分のため ではない。
野菜や動物が大地にあったとき、魚介が海にあったときの健全さを、皿 の上に再び甦らせる瞬間のためにある。
私にとって料理づくりとは、自分の魂を入れて、再び素材に命を与える 作業なのである。
これまでの人生を振り返ってみると、闘いの連続だった。とりわけ2度 目の渡仏後は、後戻りのできない闘いになった。
功名心のためでも金儲けのためでもなく、フランス料理の本拠地である パリで腕試しをするために、私はあの地を目指したのだ。後悔しないため、 できることはすべてやり尽くし、フランス人よりフランス的な料理で勝負 しようと決めていた。
それがフランスの料理界でも忘れられつつあった古典料理の復活であり、 ソースのおいしさでフランス人を驚かせようという実践につながった。
とりわけ現地で実感したのは、「フランス料理はソースである」というシン プルな真理である。
パリで料理人として生きていくためには、フランス料理のベースすなわ ち古典料理の教養を持ち、なおかつ自分だけのオリジナリティーがあり、 しかも洗練された人間性も必要とされる。
強気と攻めの姿勢が功を奏し、東洋の島国から来た男が、奇をてらわぬ、 すこしも日本的でないフランスらしいフランス料理を作っていることが、 ときに残酷なほど辛辣になるフランスの食メディアに高く評価されたの は、けっして偶然ではない。
はっきり言おう。フランス料理のベースと、おいしいソースをしっかり身 につけていれば、世界のどこでも勝負できる。あとは、それぞれの魂を どう入れていくかだ。
現在の私は、パリ暮らしの疲れがとれ、日本のリズムにも慣れて、新し いことをする体力と気力が漲っている。そんな時期の料理をまとめたい と考えたのが、本書をつくるきっかけだった。素材に命を吹きこむべく、 魂をこめたルセットも余すことなく記している。
素材の持つ自然な力が写真とルセットから読者に伝われば、幸いである。
2019 年1月 𠮷野建

せっかくフランス人と同じ土俵に立つのだから
フランス食文化の粋といわれる最難関の領域で勝負しよう
その一念でジビエと向き合ってきた
私にとって宿命の材料である

野ウサギの宮廷風 2000年パリ
野ウサギのシヴェ ロワイヤル風
イノシシ肉のカルパッチョ
イノシシバラ肉のシヴェ 1987年仕立て
イノシシ肉のポトフー 1987年仕立て
鹿ロース肉のロースト ロッシーニ風
ツキノワグマのシヴェ
クマの手のロワイヤル風
キジのブイヨン 1987年仕立て
キジのパイ包み焼き
山シギのロースト 1987年仕立て
ヤマウズラのシャルトルーズ風 1987年仕立て
ヤマウズラのヴェッシー包み 1987年仕立て
真鴨のロースト パイナップルソース 1987年仕立て
野鴨の血のソース
ジビエのトゥールト
海ガメのコンソメ ラヴィオリ・フォアグラを添えて

発想の支えになる古い料理書

アペリティフ盛り合わせ

森の幸のキノコ、畑の幸の野菜
大地からの恵みは、自然の節理に即して使うのが私のルール
季節の流れを感じさせ、体を元気にしてくれる
これからのフランス料理にもっとも求められる素材である

ちりめんキャベツとフォアグラとトリュフのテリーヌ
黒トリュフのプディング
トリュフのショーソン 1987年仕立て
ボルシチの冷製
グリーンピースのポタージュ エストラゴンの香り
白アスパラガス ソース・ムースリーヌ
モリーユ茸と春キャベツのブレゼ クレーム・ド・モリーユ
ニース風サラダ コンテンポラリー見立て
季節の野菜 モネの庭園をイメージして
夏野菜のガスパチョ アジのマリネと共に
じゃがいものスフレとカワハギのマリネ
フランス産セップ茸のフリカッセ

レストラン タテル ヨシノ 銀座の調理場

世界の水産資源が減少しつつある
そんないまだからこそ、真摯に魚介と対し、
ワインに寄り添うフランス料理にしっかりと仕立てたい
あらためてその思いを強めている

真鯛のパピヨット 1991年仕立て
オシェトラキャビアのゼリー寄せ
金目鯛のヴァプール ソース・ブイヤベース
三重県桑名産ハマグリのポシェ アオサ海苔添え
ブルターニュ産オマールと白アスパラガスのサラダ
スズキのポシェ アーティチョークのバリグール風
阿寒湖産エクルヴィスのナージュ仕立て
阿寒湖産エクルヴィスのグラタン
エスカルゴのフリカッセ 赤ワイン風味
ブルターニュ産平目のパン粉焼き バリグール風

𠮷野 建のアルバムから

家畜と家禽は、長い時間のなかで人智を尽くし、
育まれた伝統素材
その歴史から学び、味に取り込むことで
料理作りの愉しみはもっと深くなる

フォアグラのフォンダン よもぎのジュレ
山羊のカルパッチョ
仔鳩のロースト 菩提樹の香り
牛モアールのポシェ 野菜のクロッカン
テット・ド・コション ソース・トルチュ
豚足のファルシ アサリとフォアグラ添え
仔ウサギのトゥールト サリエットの香り

ラ・トルチュのビストロノミー

パテ・アン・クルート
ルクルス
北海道からの贈り物
的鯛のクルスティアン
サーモンのミキュイ ステラ・マリス風
牛レバーのポワレ エシャロットソース
喜界島アイスクリーム
赤ピーマンのブリュレ
山羊のタルト・フロマージュと蜂蜜アイスクリーム

どこかに古典の存在を感じる デセール

洋梨のベル・エレーヌ
ティラミス
タルト・ショコラ
タルト・シトロン
パン・ベルデュ
柑橘類のテリーヌ
パイナップルのソルベ
白いオペラ

タテル ヨシノ・ファミリーの店紹介

カラーページで紹介した料理のルセット


𠮷野 建
Yoshino Tateru
1952年、鹿児島県喜界島出身。
動物とスポーツ好きで負けず嫌いの少年だった。
地元の高校卒業後、大学進学を目的に上京し、アルバイトでコックをするうち調理場の熱気に魅せられ、この世界に入る。
79年に27歳で渡仏し、約5年間で「ジャマン」「トロワグロ」など10軒ほどの名だたるレストランで修業した。
帰国後、日比谷「ぶどうの木」、赤坂「光亭」、青山「ロアラブッシュ」、小田原「ステラマリス」で活躍し、スターシェフのひとりとなる。
ジビエ料理の先駆者であり、地元の漁師・農家と連携した地産地消料理の先駆者。
フランス料理への情熱から再渡仏し、97年パリ8区に「ステラマリス」を開店。
翌98年、エスコフィエのレシピをもとに再現した「テット・ド・ヴォー 海ガメ風」が『ル・モンド』に取り上げられてフランス全土で評判となり、ジョエル・ロブション氏のテレビ番組にも出演。
2006年フランス版ミシュランで念願の星を獲得した。
07年スイスで開催されるダボス国際会議の料理長を務めるなど輝かしい実績をあげ、10年フランス政府より農事功労章(シュヴァリエ)受勲、フランスのMOF(国家最優秀職人賞)コンクール料理部門の審査員に任命された。
パリの店を13年に閉店し、現在は軸足を日本に移して東京・銀座「レストラン タテル ヨシノ 銀座」、大阪「メゾン タテル ヨシノ」など全国で8店舗を展開し、進化を続けている。

魂のひと皿
素材に命を吹きこむ

𠮷野 建


はじめに
日本の各地から、そして海外からも、日々届けられる素材を前に、私は いつも自問自答する。
「さて、どうやって料理したら、命を吹きこめるだろうか」
目で見て、手でさわり、臭いを嗅ぎ、味わっているうちに、一種の化学 反応が起こって、なにかが生まれ出る。
私は古典料理を書物からずいぶん学び、フランスの地方を旅しては郷土 料理の見聞を深めて、頭のなかの引き出しを増やしてきたものだ。そう して蓄えたすべての知識と体験は、自分のものではあるが、自分のため ではない。
野菜や動物が大地にあったとき、魚介が海にあったときの健全さを、皿 の上に再び甦らせる瞬間のためにある。
私にとって料理づくりとは、自分の魂を入れて、再び素材に命を与える 作業なのである。
これまでの人生を振り返ってみると、闘いの連続だった。とりわけ2度 目の渡仏後は、後戻りのできない闘いになった。
功名心のためでも金儲けのためでもなく、フランス料理の本拠地である パリで腕試しをするために、私はあの地を目指したのだ。後悔しないため、 できることはすべてやり尽くし、フランス人よりフランス的な料理で勝負 しようと決めていた。
それがフランスの料理界でも忘れられつつあった古典料理の復活であり、 ソースのおいしさでフランス人を驚かせようという実践につながった。
とりわけ現地で実感したのは、「フランス料理はソースである」というシン プルな真理である。
パリで料理人として生きていくためには、フランス料理のベースすなわ ち古典料理の教養を持ち、なおかつ自分だけのオリジナリティーがあり、 しかも洗練された人間性も必要とされる。
強気と攻めの姿勢が功を奏し、東洋の島国から来た男が、奇をてらわぬ、 すこしも日本的でないフランスらしいフランス料理を作っていることが、 ときに残酷なほど辛辣になるフランスの食メディアに高く評価されたの は、けっして偶然ではない。
はっきり言おう。フランス料理のベースと、おいしいソースをしっかり身 につけていれば、世界のどこでも勝負できる。あとは、それぞれの魂を どう入れていくかだ。
現在の私は、パリ暮らしの疲れがとれ、日本のリズムにも慣れて、新し いことをする体力と気力が漲っている。そんな時期の料理をまとめたい と考えたのが、本書をつくるきっかけだった。素材に命を吹きこむべく、 魂をこめたルセットも余すことなく記している。
素材の持つ自然な力が写真とルセットから読者に伝われば、幸いである。
2019 年1月 𠮷野建

せっかくフランス人と同じ土俵に立つのだから
フランス食文化の粋といわれる最難関の領域で勝負しよう
その一念でジビエと向き合ってきた
私にとって宿命の材料である

野ウサギの宮廷風 2000年パリ
野ウサギのシヴェ ロワイヤル風
イノシシ肉のカルパッチョ
イノシシバラ肉のシヴェ 1987年仕立て
イノシシ肉のポトフー 1987年仕立て
鹿ロース肉のロースト ロッシーニ風
ツキノワグマのシヴェ
クマの手のロワイヤル風
キジのブイヨン 1987年仕立て
キジのパイ包み焼き
山シギのロースト 1987年仕立て
ヤマウズラのシャルトルーズ風 1987年仕立て
ヤマウズラのヴェッシー包み 1987年仕立て
真鴨のロースト パイナップルソース 1987年仕立て
野鴨の血のソース
ジビエのトゥールト
海ガメのコンソメ ラヴィオリ・フォアグラを添えて

発想の支えになる古い料理書

アペリティフ盛り合わせ

森の幸のキノコ、畑の幸の野菜
大地からの恵みは、自然の節理に即して使うのが私のルール
季節の流れを感じさせ、体を元気にしてくれる
これからのフランス料理にもっとも求められる素材である

ちりめんキャベツとフォアグラとトリュフのテリーヌ
黒トリュフのプディング
トリュフのショーソン 1987年仕立て
ボルシチの冷製
グリーンピースのポタージュ エストラゴンの香り
白アスパラガス ソース・ムースリーヌ
モリーユ茸と春キャベツのブレゼ クレーム・ド・モリーユ
ニース風サラダ コンテンポラリー見立て
季節の野菜 モネの庭園をイメージして
夏野菜のガスパチョ アジのマリネと共に
じゃがいものスフレとカワハギのマリネ
フランス産セップ茸のフリカッセ

レストラン タテル ヨシノ 銀座の調理場

世界の水産資源が減少しつつある
そんないまだからこそ、真摯に魚介と対し、
ワインに寄り添うフランス料理にしっかりと仕立てたい
あらためてその思いを強めている

真鯛のパピヨット 1991年仕立て
オシェトラキャビアのゼリー寄せ
金目鯛のヴァプール ソース・ブイヤベース
三重県桑名産ハマグリのポシェ アオサ海苔添え
ブルターニュ産オマールと白アスパラガスのサラダ
スズキのポシェ アーティチョークのバリグール風
阿寒湖産エクルヴィスのナージュ仕立て
阿寒湖産エクルヴィスのグラタン
エスカルゴのフリカッセ 赤ワイン風味
ブルターニュ産平目のパン粉焼き バリグール風

𠮷野 建のアルバムから

家畜と家禽は、長い時間のなかで人智を尽くし、
育まれた伝統素材
その歴史から学び、味に取り込むことで
料理作りの愉しみはもっと深くなる

フォアグラのフォンダン よもぎのジュレ
山羊のカルパッチョ
仔鳩のロースト 菩提樹の香り
牛モアールのポシェ 野菜のクロッカン
テット・ド・コション ソース・トルチュ
豚足のファルシ アサリとフォアグラ添え
仔ウサギのトゥールト サリエットの香り

ラ・トルチュのビストロノミー

パテ・アン・クルート
ルクルス
北海道からの贈り物
的鯛のクルスティアン
サーモンのミキュイ ステラ・マリス風
牛レバーのポワレ エシャロットソース
喜界島アイスクリーム
赤ピーマンのブリュレ
山羊のタルト・フロマージュと蜂蜜アイスクリーム

どこかに古典の存在を感じる デセール

洋梨のベル・エレーヌ
ティラミス
タルト・ショコラ
タルト・シトロン
パン・ベルデュ
柑橘類のテリーヌ
パイナップルのソルベ
白いオペラ

タテル ヨシノ・ファミリーの店紹介

カラーページで紹介した料理のルセット


𠮷野 建
Yoshino Tateru
1952年、鹿児島県喜界島出身。
動物とスポーツ好きで負けず嫌いの少年だった。
地元の高校卒業後、大学進学を目的に上京し、アルバイトでコックをするうち調理場の熱気に魅せられ、この世界に入る。
79年に27歳で渡仏し、約5年間で「ジャマン」「トロワグロ」など10軒ほどの名だたるレストランで修業した。
帰国後、日比谷「ぶどうの木」、赤坂「光亭」、青山「ロアラブッシュ」、小田原「ステラマリス」で活躍し、スターシェフのひとりとなる。
ジビエ料理の先駆者であり、地元の漁師・農家と連携した地産地消料理の先駆者。
フランス料理への情熱から再渡仏し、97年パリ8区に「ステラマリス」を開店。
翌98年、エスコフィエのレシピをもとに再現した「テット・ド・ヴォー 海ガメ風」が『ル・モンド』に取り上げられてフランス全土で評判となり、ジョエル・ロブション氏のテレビ番組にも出演。
2006年フランス版ミシュランで念願の星を獲得した。
07年スイスで開催されるダボス国際会議の料理長を務めるなど輝かしい実績をあげ、10年フランス政府より農事功労章(シュヴァリエ)受勲、フランスのMOF(国家最優秀職人賞)コンクール料理部門の審査員に任命された。
パリの店を13年に閉店し、現在は軸足を日本に移して東京・銀座「レストラン タテル ヨシノ 銀座」、大阪「メゾン タテル ヨシノ」など全国で8店舗を展開し、進化を続けている。
判型
A4判
ページ数
発行日
ISBN-13
9784751113707
備考
定価
本体 6500円+税

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