Web近代食堂 プロの飲食店のためのメニュー&マネジメント Cuisine&Management for professional

プロのレシピ 2018.12.12

WEB近代食堂メイン画像

人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★
濃厚イチゴソルベに”古代チーズ”をふりかけて

日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回は、これから旬を迎えるイチゴを使ったデザートのレシピを紹介。果実感のある濃厚ソルベに、”古代チーズ”とも呼ばれる伝統の乳製品「飛鳥の蘇」を削りかけて仕上げます。

飛鳥の蘇(西井牧場 みるく工房飛鳥)

上品な甘さと香り。古代より伝わる乳製品

牧場直営で、自社牧場の牛乳を使った乳製品の製造・販売を行なっている「みるく工房 飛鳥」。地元の大学教授の助言を受け、昭和62年に開発したのが「飛鳥の蘇」である。“蘇”とは、古代日本で作られていたという乳製品の一種で、“古代チーズ”とも呼ばれるもの。同社では古来の手法を再現し、搾りたての生乳を攪拌しながら7~8時間加熱して作り上げている。砂糖等は一切加えず牛乳のみで作っており、ほのかな自然の甘みが特徴的。飲食店にも納品しており、『六雁』では5~6年前より導入。店ではそのままワインに合わせたりするほか、マカロンに挟むなどしてデザートに活用することが多いという。

■みるく工房飛鳥(http://www.asukamilk.com/)

イチゴのソルベ 飛鳥の蘇とともに

イチゴを贅沢に使ったソルベに、「飛鳥の蘇」を削りかけたデザート。ほのかな甘みと香りをもつ「飛鳥の蘇」が、旬のイチゴの風味を邪魔することなく、ほどよく引き立てる。口の中で一緒に溶けていくように、ソルベはフードプロセッサーにかけてやわらかくしてから使用。
●参考売価600円/原価150円

■材料(1人前)
イチゴのソルベ(※) 50g
蘇(「飛鳥の蘇」) 適量
イチゴ 1/2粒

※イチゴのソルベ
材料(一回の仕込み量)
イチゴ 8パック分
レモン汁 8個分
グラニュー糖 400g
白ワイン(煮切ったもの) 400ml
作り方
イチゴを洗い、水気をとってミキサーにかける。白ワインでグラニュー糖を溶かし、1に混ぜる。さらにレモン汁を加えて混ぜる。ソルベマシンにかけて冷やし固める。

■作り方
1 イチゴのソルベをフードプロセッサーにかけ、やわらかくする。
2 1をスプーンで丸く成形し、器に盛り付ける。蘇を削りかけ、イチゴを飾る。

    「飛鳥の蘇」を活かすPOINT
    ◦削りかけることで口の中で溶けやすくする
    ◦素材の味わいを邪魔せずほのかな甘さと風味をプラス

        •     

    【シェフ紹介】
    六雁(東京・銀座)総料理長 秋山能久氏

    全国各地の生産者と密につながり、様々な食材を取り入れている『六雁』の秋山氏。「作り手と直に話をしたい」という思いから、生産者と直接取引して仕入れる場合が多いという。食材を探す際に最も重視している情報源は、つながりのある料理人たち。和食に限らず様々なジャンルのシェフとやり取りし、お互いに情報交換を行なっている。「飛鳥の蘇」は、「ほんのりミルキーな香りで、主張しすぎない。日本料理はシンプルなものが多いですが、それに寄り添える名脇役です」(秋山氏)。

    昭和49年生まれ、茨城県出身。『割烹すずき』、『月心居』を経て、2005年より『六雁』に入店。現在、総料理長として腕をふるう。国内外の料理学会で講演を行なうなど幅広く活躍。著書に『再創造する郷土料理』(旭屋出版刊)がある。
    “スーパー割烹”をコンセプトに、古典の内容を紐解き、最先端のプレゼンテーションで魅せる独自の料理が評判の日本料理店。
    ■住所/東京都中央区銀座5-5-19 銀座ポニービル6~7F

    ※月刊「近代食堂」2015年3月号に掲載した内容を再編集しています