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プロのレシピ 2018.06.02

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人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★
ピリ辛だれが絶品!中華冷菜がモダンに進化

日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回はモダンチャイニーズの人気店『東京チャイニーズ 一凛』の齋藤シェフによる、中華の定番冷菜「よだれ鶏」のレシピを紹介します。

高坂鶏 赤

エサの配合で肉質を変化。4タイプの鶏で要望に応じる

レストランを経営していた高坂英樹さんが、農業・畜産業への関心を強めて生産者へと転身。2003年より養鶏を開始し、独自の育成法で開発したのが「高坂鶏」だ。「鶏は食べているものがすべて特徴として出てくる」と考えた高坂さんは、特にエサにこだわり「飼料の約9割は人間が食べられる程のレベルのもの」という独自設計のエサで鶏を育てる。
現在、特徴の異なる4タイプの鶏を飼育しており、『東京チャイニーズ 一凛』ではロードアイランドレッド種とニューハンプシャー種を交配させた「高坂鶏 赤」を使用。「一般的な地鶏と比べ非常にやわらかい。噛むとサクッと噛み切れるが、歯応えがあります」(高坂さん)。すべて雌のみで丸鶏の状態で出荷する。

■高坂鶏農園(http://takasakadori.jp/)

よだれ鶏(口水鶏)

ピリ辛のタレを鶏肉にかけた四川の人気冷菜に、脂ののった鶏レバーだけで作ったパテを添えて魅力をアップ。また、ベースのタレと豆板醤を合わせる際、あえて口に当たるようにざっくりと混ぜることで、黒酢の味わいと豆板醤の香りの両方を感じられるように仕上げている。
●参考売価1400円/原価420円

■材料(1人前)
★茹で鶏(モモ肉、ムネ肉)100g
★鶏レバーのパテ 30g
豆板醤 5g
★よだれ鶏のタレ 60g
ラー油 30g
パクチー 適量
白ゴマ 適量
カシューナッツ 適量

★茹で鶏
材料(1回の仕込み量)
丸鶏(「高坂鶏 赤」) 1羽(約4㎏)、塩水(海水より塩分薄めで、ローリエ、山椒を加えたもの) 適量
作り方
1 丸鶏は、常温に戻しておき、ボイルする。最初は外側にお湯をかけ、中身側までお湯が入るようにしながら、ゆっくりと湯に全体を沈めていき、50分ほど茹でる。茹で上がりは、氷水に取り、あら熱がとれたら冷蔵庫で一日寝かせて落ち着かせる。
2 丸鶏は、部位ごとに切り分け、塩水に半日以上漬け込んでおく。「よだれ鶏」にはモモ肉とムネ肉の一部を使用。

★鶏レバーのパテ
材料(1回の仕込み量)
鶏レバー(「高坂鶏 赤」) 1羽分、紹興酒 少々、塩 少々
作り方
1 鶏レバーは、血管、筋を抜きミキサーにかけ、紹興酒、塩で軽く味を入れる。さらしなどで裏ごし、型に入れて冷やし固める。
2 使用時に薄切りにし、常温に戻しておく。

★よだれ鶏のタレ
材料(1回の仕込み量)
濃口醤油 50ml、鶏ガラスープ 100ml、黒酢 20ml、米酢 5ml、生姜 5g、ニンニク 2g、砂糖 10g、ゴマ油 3ml、ラー油 40ml
作り方
材料すべてを混ぜ合わせる。

■作り方
1 皮や脂のバランスを考えながら、茹で鶏を2口で食べられる位の大きさにカットし、皿に盛り付ける。
2 ボウルに豆板醤、よだれ鶏のタレを入れ、軽く混ぜる。
3 1に2とラー油をかけ、鶏レバーのパテをのせる。刻んだパクチーと白ゴマ、砕いたカシューナッツを散らす。

「高坂鶏 赤」を活かすPOINT
◦ 茹でたのち、一度肉汁を落ち着かせてジューシーに
◦ 旨みのある脂や皮、肉がバランスよく口に入るようカット

【シェフ紹介】
東京チャイニーズ 一凛(東京・築地)店主 齋藤宏文氏

“生産者とお客をつなげる場”として、自店を位置づけている齋藤宏文シェフ。店で使うのは、自分で食べておいしいと感じた、こだわりを持って食材を作っている生産者の食材だ。生産者から食材に対する思いを聞き、料理と会話で生産者の思いまで伝えることを信条とする。
エサにこだわって育てられる高坂鶏は、「脂に臭みがなく、また脂の融点が低くて体温で溶けるほど」と齋藤氏。食べたお客の多くが「他とは違う」と言う逸品だ。

『赤坂四川飯店』に20歳で入店し、11年間腕を磨く。2008年、中華やバル業態を展開する㈱ウェイブズに入社。系列の中華料理店『大天門』で調理長を務めたのち、2013年3月『東京チャイニーズ 一凛』を立ち上げ、調理・運営を統括する。“近い距離感でよき食材と空間を共有すること”がコンセプト。食材ありきで古今東西の技術を取り入れ、柔軟な発想で料理を提供する。
■住所/東京都中央区築地1-5-8 樋泉ビル1F
http://www.whaves.co.jp/ichirin/

※月刊「近代食堂」2015年7月号に掲載した内容を再編集しています