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プロのレシピ 2018.11.21

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人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★
野菜の色彩が美しい、人気フレンチの名物

日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回紹介するのは、こだわりの栽培法でつくられる色とりどりの野菜が主役の一皿。それぞれの持ち味を生かした調理で仕上げます。

榎本農園の無農薬野菜

年間150種類を栽培。土の力を生かした味わい深い野菜

土の力を生かした味わい深い野菜先代から40年にわたり無農薬栽培にこだわってきた、埼玉県さいたま市西区の「榎本農園」。長年にわたり改良を続けてきた土の力を生かし、年に約150種類もの野菜を栽培している。和・洋を問わず、新しい品種にどんどんチャレンジし、中にはまだ市場に出回っていない試作段階の希少な野菜も。直接取引で卸しており、レストラン始め飲食店との取引が多い。「農薬の手助けを受けていないので、野菜本来の味がして味わいも濃い。昨日採れたものが翌朝には届くので、歯ごたえや香りが違います」と『La Coupe d'Or』の坪香シェフ。園主の姉・榎本房枝さんは、調理師や野菜ソムリエの資格を持ち、店ごとに適した種類の野菜を選んで送る等、きめ細やかな対応も評判。

■榎本農園Facebook(https://www.facebook.com/saitama.enomotofarm/)

榎本さんが育てた味わい野菜のコンポゼ

15~20種類の野菜類を使い、カツオだしを使って煮びたしたり、白ワインやハーブを使って炒め煮にしたりと、それぞれに適した調理法で味わいを引き出し、変化にとんだ華やかなひと皿に。
●参考売価1800円/原価300~400円

■材料(1人前)
A 黒丸大根、赤カブ、あやめ雪(カブ)
B 金美人参(黄人参)、レディースサラダ(大根)、青長大根、
C 聖護院カブ、アスパラ菜(オータムポエム)
D 青梗菜、オカノリ
E 紅はるか(サツマイモ)、パープルスイートロード(紫芋)
F 紅しぐれ大根、レディースサラダ(大根)、二十日大根、紅芯大根、青長大根、人参、金美人参(黄人参)、紫人参
G ミニトマト、赤軸水菜、ワサビ菜、サラダ春菊
※A~G(榎本農園) すべて各適量
カツオだし 適量
ピュアオリーブオイル 適量
ニンニク、ローリエ、コリアンダー、タイム 各適量
白ワイン 適量
鶏ブイヨン 適量
ハニーマスタードソース(※) 30ml
ミモレットチーズ 適量
塩 適量
レモン風味のEXVオリーブオイル(市販品) 適量
レモン汁 適量

※ハニーマスタードソース
材料(一回の仕込み量)
シードルビネガー50g、粒マスタード50g、ディジョンマスタード50g、ハチミツ150g、ピュアオリーブオイル400g、ピマンデスペレット(フランスバスク地方産の唐辛子)適量、パプリカパウダー適量
作り方
シードルビネガー、粒マスタード、ディジョンマスタード、ハチミツをハンドミキサー で混ぜ合わせる。ピュアオリーブオイルを少量ずつ加えながら、ハンドミキサーで混ぜ合わせる。ピマンデスペレット、パプリカパウダーを加え混ぜ合わせる。

    ■作り方
    1 Aの野菜は、皮を残して適度にカットし、180℃で2分ほど素揚げする。カツオだしで30秒~1分煮含め、煮汁ごと氷水にあてて冷まし、そのまま漬けておく。
    2 Bの野菜のうち金美人参(黄人参)は皮をむき、適度にカットする。そのほかの野菜は皮を残しつつ適度にカットする。
    3 ピュアオリーブオイルに、ニンニク、ローリエ、コリアンダー、タイムを入れて熱し、香りを移す。2を加えて軽く炒め、火が通ったら、野菜類が半ばまで浸る位に白ワインを加え、加熱してアルコールを飛ばす。鶏ブイヨンをひたひたに加えて加熱し、沸いたらアクを取り除いて5分ほど加熱する。氷水にあてて冷まし、そのまま保存しておく。
    4 Cの野菜はグリルする。聖護院カブは、くし形にカットし、皮をむく。アスパラ菜(オータムポエム)は、適度にカットし、軽く塩茹でする。ともにピュアオリーブオイルを絡め、グリルで焼いたのち冷ましておく。
    5 Dの野菜は、適度にカットし、塩茹でして冷ましておく。
    6 Eの野菜は、丸ごとアルミホイルで包み、200℃のオーブンで1時間ほど焼く。アルミホイルから取り出し、適度にカットする。
    7 Fの野菜は、薄くスライスする。Gの野菜は、適度にカットする。
    8 皿にハニーマスタードソースをひく。1、3の野菜類を漬け汁から引き出し、水気を切って、4、5、6、7の野菜類とともに皿に盛り付ける。ミモレットチーズを添える。野菜類の上に、塩、レモン風味のEXVオリーブオイル、レモン汁をかける。

    「榎本農園の無農薬野菜」を活かすPOINT
    ◦素材の色・形を考慮しつつ組み込む
    ◦手を加え過ぎず素材の味を活かす

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    【シェフ紹介】
    La Coupe d'Or(東京・白金高輪)シェフ 坪香絢也氏

    香りに敏感な日本人を意識しつつ、素材の味、香りをいかした“ナチュラルな”フレンチを提供する『La Coupe d'Or』。生産者の顔の見える食材を求め、東京近郊でこだわりの食材を探し「榎本農園」の無農薬野菜に行き着いた。「榎本農園」からは、野菜の品種はおまかせで、採れたての旬の野菜を直送で仕入れる。その野菜を様々な調理法や演出で楽しませる「榎本さんが育てた味わい野菜のコンポゼ」は、同店名物のひと皿だ。

    大阪あべの辻調理師専門学校フランス校に進み、リヨンのミシュラン一つ星レストラン『Gourmet de Seze』で研修。その後、南仏『Le Moulin de Mougins』やパリのレストラン等で経験を積み帰国。2013年『La Coupe d'Or』シェフに就任。
    初心者でも気軽に楽しめるようにカジュアルさを工夫し、フレンチ愛好者のすそ野を広げている。客単価は昼3500円、夜9000円。
    ■住所/東京都港区白金1-27-6 白金高輪ステーションビル1F

    ※月刊「近代食堂」2015年2月号に掲載した内容を再編集しています