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プロのレシピ 2018.07.17

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人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★
信州サーモンと初夏の野菜のメリメロ 開田高原クリームチーズのフォンデュ仕立て

日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回は魚貝と野菜をミルキーな ソースと泡でまとめた一皿です。

開田高原クリームチーズ

清涼な空気の中で生まれる牛乳が原料。クリーミーで丸みのあるクリームチーズ

御嶽山の麓・開田高原でのびのびと育つ乳牛の生乳と地元の農産物を原 料とするアイスクリーム工房が誕生したのは平成11年のこと。その乳質 のよさを生かし、2年後にはチーズの開発にも取り組み始めた。代表取締役 の斎藤信博氏が文献を頼りに試行錯誤を重ね、現在、生産するチーズは 5種類。中でもカマンベールチーズはナチュラルチーズコンテストで1位 をとるほどの評価を受ける。今回、藤木シェフが使用したクリームチー ズは、もともと料理人だった斎藤氏が「塩味を抑えてまろやかな味わい で子どもにも食べやすく」と開発したもの。ホモゲナイズ※1する製法で、 そのままディップになるほどのとろみ感が特徴だ。125g848円(税込)。
ホモゲナイズ… 専用の機械を用いて、生乳に含まれる乳脂肪を小さくする工程のこと。均質化とも呼ばれる。

■開田高原アイスクリーム工房(http://www.hif.jp)

信州サーモンと初夏の野菜のメリメロ 開田高原クリームチーズのフォンデュ仕立て

乳質のいい牛乳から作られるクリーム チーズは、塩味が少なく、ミルキーなコ クがある。ほどよい酸味もソースにぴっ たりで、信州サーモン、ウツボ、燻製ト マトと個性あふれる食材を見事に一つ にまとめてくれる。ぶんたんの皮で香り を、仕上げのミルクの泡で軽さを出した。
●参考売価1800円/原価740円

■材料(4人前)
<信州サーモンのマリネ>
 信州サーモン(約1200g)…1尾 粗塩…50g  砂糖…100g ディルウィード…10g  柑橘香るエクストラバージンオリーブオイル*…60g
<ウツボのエスカベッシュ>
 ウツボ(皮つきで骨切りし、切り身にする)…100g  サラダ油…適量 ★グレック汁…適量  フェンネルシード…5g 土 佐ぶんたんの皮のコンフィチュール※…適量
<燻製トマト>
 トマト…60g 桜の燻製チップ…適量 開田高原ブリーチーズ…50g フルーツほおずき…4個 セルフィーユ…適量
<クリームチーズのソース>
 生クリーム…300g 開田高原クリームチーズ…60g  塩、白胡椒…各適量
牛乳…400g オリーブ油…40g フェンネルの葉…適量
★グレック汁
<材料>
白ワイン…750g 白ワインビ ネガー…80g 上白糖…80g 塩…18g コリアンダー…10g アニスシード…5g ローリエ… 1枚 スターアニス…5個
・作り方
鍋に白ワインを入れて火にかけ、 アルコールを飛ばしてから他の 材料を加えて少し煮詰め、漉す。
*柑橘香るエキストラバージンオイル…エキストラバージンオ リーブオイルにお好みの柑橘の皮を2日ほど漬ける
※土佐ぶんたんの皮のコンフィチュール…土佐ぶんたんの皮(1 個分)をせん切りにする。水で数回茹でて皮のえぐみを取り除 き、砂糖、水、ハチミツで作ったシロップで10分程度煮る。

■作り方
1 信州サーモンのマリネを作る。信州サーモンを三枚におろして骨を抜き、皮を引く。粗塩、砂糖、ディルウィー ドをよく混ぜ合わせ、魚の身側にまんべんなくまぶし、ラップをかけて冷蔵庫でひと晩マリネする。出てき た水分を拭き取り、柑橘オリーブ油を身側に塗り、真空包装して柑橘オリーブ油を浸透させる。
2 ウツボのエスカベッシュを作る。グレック汁と土佐ぶんたんの皮のコンフィチュール、フェンネルシードを 合わせる。ウツボは皮目を炭火で焼き、サラダ油で素揚げし、合わせたグレッグ汁に漬け、5日ほどおく。
3 燻製トマトを作る。トマトの皮を湯むきし、ひと口大のくし切りにする。鍋に 燻製チップを入れて火にかけ、煙が出たら網の上にトマトをのせ、20秒間 燻し、すぐに冷ます。
4 1~3、開田高原ブリ―チーズ、フルーツほおずきを1.5~2cm大に切り、 ボウルに混ぜ合わせ、刻んだセルフィーユも合わせる。
5 クリームチーズのソースを作る。ボウルに生クリーム、開田高原クリームチー ズ、土佐ぶんだんの皮のコンフィチュールを混ぜ、塩と白胡椒で味を調える。
6 ボウルに牛乳を入れ、バーミックスで角が立つまで泡立て、ミルクの泡を作る。
7 4の具材を器に盛り、上にクリームチーズのソースをかけ、ミルクの泡をの せる。最後にオリーブ油をまわしかけ、フェンネルの葉を飾る。

「開田高原クリームチーズ」を活かすPOINT
◦ クリームチーズのまろやか な酸味で軽いソースに
◦ あえて色を見せず、真っ白な ソースで覆う斬新さ

【シェフ紹介】
オーベルジュ エスポワール(長野・蓼科)オーナーシェフ・藤木徳彦氏

1971年、東京生まれ。高校卒業後、蓼科 高原のオーベルジュで修業。肉や魚、野菜 の卸業を経験したのち、1998年に『エス ポワール』をオープン。現在、NPO法人 日本ジビエ振興協議会代表。2013年には 内閣府の「地域活性化伝道師」に任命された。
生産者の元へ何度も足を運び、食材のバッ ググランドをしっかり把握した上で、物語 性の高い料理を常に作り出す藤木徳彦シェ フ。その土地に泊まり、その土地の食材を 使った料理を楽しんでもらうオーベルジュ という形態だからこそ、食材への思い入れ はより深い。今回取り上げる食材は、御嶽山の麓で育つ健康な 牛の生乳を使ったクリームチーズは「乳質 がとてもよく、塩味が抑えられていて使い やすい」と、具材をからめて食べるフォン デュ風の仕立てを夏向きの冷製ですすめる。
『オーベルジュ エスポワール』は、自然豊かな蓼科の地で、長野の食材を中心に季節感あふれるフランス料理を提供するオーベルジュ。年間を通して楽しめるジビエ料理にも定評がある。
■住所/長野県茅野市北山蓼科中央高原
http://www.auberge-espoir.com//

※月刊「近代食堂」2016年9月号に掲載した内容を再編集しています