人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★猪バラ肉のパントレッシュ ピペラードを添えて – 旭屋出版

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プロのレシピ 2018.07.23

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人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★
猪バラ肉のパントレッシュ ピペラードを添えて

日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回は夏のイノシシ肉を塩漬け熟成し、旨みと香りアップさせた一皿です。

いの屋の猪肉

全国初“ジビエ”を格付けする和歌山県。 認証施設第1号「いの屋」が誇る解体の技

和歌山県では2014年4月、猪肉や鹿肉の処理施設と肉の品質を格付け するための衛生管理認証制度をスタート。ジビエの品質の高さをアピー ルすることで消費を拡大しようという試みだ。その認証施設第一号と なったのが『いの屋』で、「わかやまジビエ格付員」がいるだけでなく、 牛や豚で30年以上、鹿や猪で15年以上という解体処理のプロによる技 術の高さで料理人から絶大な信頼を得る。「処理の仕方によってはBラン クの肉もAランクの肉に変わる」と『いの屋』の北浦順嗣氏。猪は何を 餌にしているかによって肉質や風味は変わり、春夏でも栗やみかん、ぶ どうを食べる猪は肉質もいいという。主にロース、バラ、モモの3部位 を真空冷凍状態で販売する。

■いの屋(073-461-5102)

猪バラ肉のパントレッシュ ピペラードを添えて

パントレッシュは豚肉を塩漬けにするバ スク地方の加工肉のこと。夏の猪は肉が かたい。パントレッシュにすれば、かた さも気にならず、本来持っている旨みも 引き出せるという。添えた夏野菜の炒め 物"ピペラード" もバスクの料理。
●参考売価1600円/原価450円

■材料(1皿分)
<パントレッシュ(仕込み量)>
 猪バラ肉(ブロック)…2kg
 塩…20g 砂糖…5g
 ピマン・デスプレット…10g  ※バスク地方の唐辛子
<ピペラード>  オリーブ油…40ml 玉ネギ(スライス)…1/2個
 パプリカ(縦半分に切り、種を取る)…1個
 ズッキーニ(1cm角に切る)…1/2本
 ニンニク(みじん切り)…1片分
 ナス(1cm角に切る)…1個 タイム…1本
 トマト(湯むきして乱切り)…1個
 塩、白胡椒…各適量 卵…2個
<仕上げ用>
 パントレッシュ(スライス)…3枚
 タイム…適量

■作り方
<パントレッシュ>
① 猪バラ肉は、熱湯殺菌したフォークで表裏まんべんなく穴を開ける。
② ①に塩、砂糖をまんべんなくふり、赤身側にピマン・デスプレット をふり、真空包装して7日間チルド冷蔵庫で寝かせる。
③ ②の水分をペーパータオルでふき取り、ホットエアー30℃に設定し たスチームコン ベクションオーブ ンに入れ、6~7 時間乾燥させる。
④ ③を冷蔵庫で3日 間吊るして熟成さ せる。
⑤ ④を赤身を内側に して筒状に丸め、 タコ糸できっちり 縛って整形し、冷 蔵庫で7日間吊る して完成。
<ピペラード>
① 鍋にオリーブ油を入れて熱し、玉ネギ、 パプリカ、ズッキーニを弱火でソテーし て甘味を引き出し、ニンニク、ナス、タ イムを炒め合わせてからトマトを加え、 塩、胡椒で味を調える。
② ①に溶きほぐした卵を加え、大きく混ぜ、 半熟状に仕上げる。
<仕上げ>
① パントレッシュを1~2cm幅にス ライスし、カリッとするまでソテー する。
② ピペラードを皿に盛り、①をのせ、 タイムを飾る。

「いの屋の猪肉」を活かすPOINT
◦ 塩漬け熟成で、肉の旨みを 引き出す
◦ 濃厚な旨みと塩気を夏野菜 のアクセントに

【シェフ紹介】
オーベルジュ エスポワール(長野・蓼科)オーナーシェフ・藤木徳彦氏

1971年、東京生まれ。高校卒業後、蓼科 高原のオーベルジュで修業。肉や魚、野菜 の卸業を経験したのち、1998年に『エス ポワール』をオープン。現在、NPO法人 日本ジビエ振興協議会代表。2013年には 内閣府の「地域活性化伝道師」に任命された。
長野・蓼科でオーベルジュを営む藤木シェ フは、地元・長野の信州食材を使った地産 地消の料理人として脚光を浴びている。そ の食材の一つにジビエがある。11月からの 狩猟期間には鹿や猪をはじめ、雉や山鳩、 アナグマ、多彩な信州ジビエが堪能できる ジビエフルコースを用意。一方で年々、野 性鳥獣による農作物被害が増加するなか、 害獣駆除により、一年を通じて鹿肉や猪肉 が入手しやすくなっている。ジビエは冬だ けのものではないと、野生鳥獣を食肉とし て流通させるための普及活動も行なう藤木 シェフに夏の猪を使った料理を紹介し てもらった。「冬はイノシシ、夏はシカと猟 師さんの間では伝えられてきた」という通り、 鹿は赤身のおいしさを低温加熱調理で活か し、猪は肉質のかたさをパントレッシュ(バ スク地方の加工肉)にすることで和らげる。
『オーベルジュ エスポワール』は、自然豊かな蓼科の地で、長野の食材を中心に季節感あふれるフランス料理を提供するオーベルジュ。年間を通して楽しめるジビエ料理にも定評がある。
■住所/長野県茅野市北山蓼科中央高原
http://www.auberge-espoir.com//

※月刊「近代食堂」2016年10月号に掲載した内容を再編集しています