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プロのレシピ 2018.09.07

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とっておき「ニッポン食材」活用レシピ
賀茂茄子田楽 太刀魚 の山椒焼きをのせて

日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピをお教えします。今回は「賀茂茄子田楽 太刀魚の山椒焼きをのせて」をご紹介します。

特上㐂き助すけみそ(三重こうじみそ)甘口

“地元の麹屋”が生み出した豊かな麹文化を伝える贅沢な味噌

 昔から米どころとして知られ、米を中心とした食文化を築いてきた秋田。米を使う麹屋も多く、かつては各集落に一軒麹屋があったという。
その中の一軒を基礎とし、1918年に創業した合資会社 羽場こうじ店では、昔ながらの天然醸造で味噌づくりを続けてきた。
夏が短く雪深い土地ならではの平均気温の低さを活用した“低温熟成”の製法により、同社の味噌は味わい深いと評判。なかでもこの商品は、豆1に対し米麹3を使った、贅沢な“三重麹製法”で、芳醇な甘い香りとつよい旨みが特徴だ。シンプルな素材の味を引き出してくれる。

■㐂助味噌醸造元 合資会社 羽場こうじ店(HP: http://www.habakoji.com

賀茂茄子田楽 太刀魚の山椒焼きをのせて

揚げた賀茂ナスに味噌をたっぷりと塗って焼き上げた“田楽ナス”に、ふっくら焼き上げたタチウオ、濃厚なウニをのせたひと皿。
味噌を主役に、タチウオの脂の旨み、ナスの甘みを組み合わせてバランスよく仕立てた。実山椒を漬け込んだ醤油をかけ、味を引き締めている。
  ●参考売価9000円(税込)のコース内で提供/原価750円

■材料(一人前)
 賀茂ナス…50g
 味噌(特上㐂助みそ(三重こうじみそ)甘口)…大さじ2
 タチウオ…30g
 塩…適量
 生ウニ…20g
 山椒醤油(味醂、酒、濃口醤油、実山椒を一緒に炊いたもの)…少々
 木の芽…適量
 黒七味…適量
 大豆油…適量

■作り方
1 賀茂ナスは、1. 5㎝ほどの厚さにカットし、皮をむく。表面に金串や箸で穴を開ける。
2 大豆油を高めの温度に熱し、①の賀茂ナスを揚げる。表面に焦げ色が付くまでしっかり揚げる。
3 2の賀茂ナスに金串を打ち、弱火の遠火で炭火焼きにする。
4 3の賀茂ナスの金串を外し、味噌を塗る。180℃のオーブンで5分ほど焼く。
5 タチウオは、三枚におろし、適度にカットして切り身にする。軽く塩をふって半日寝かせておく。
6 5のタチウオに金串を打ち、軽く塩をふる。強火の遠火で炭火焼きにする。
7 器に4を置き、金串から外した6をのせる。生ウニをのせ、表面をバーナーで軽く炙る。
  山椒醤油をかけ、木の芽を飾る。黒七味をかける。

「特上㐂助みそ 甘口」を活かすPOINT
◦ 何も加えず、味噌のみで “田楽味噌”として使用
◦ 甘口の味噌を炙り、旨みと コクを高める

【シェフ紹介】
『京橋 酛』
料理長 上野智紀氏

 “料理に合う酒、酒に合う料理”を提供し、和食と日本酒のマリアージュを楽しませる。料理は9000円(税込)のコースを中心に提供する『京橋 酛』。
上野氏はしっかりとした和食をベースに置きつつ、各国の食材を自由に取り入れ、独自の料理を作り上げてきた。食材探しにも熱心で、築地に毎日出向き、珍しい食材を色々と取り入れている。また全国各地へ出かけて生産者と触れ合い、導入する食材も多い。今回紹介する味噌は、それぞれ地元に長年根付いた老舗のもの。
蔵元が現地で営む麹料理店『くらを』で食事をし、感銘を受けたことから導入。「旨みもあってそれだけでも酒のつまみになるほど。味噌そのものを食べてもらいたいとの思いから、味噌が主役の田楽にしました」(上野氏)。
■住所/東京都中央区京橋2-6-13  イーストビル1F

※月刊「近代食堂」2016年9月号に掲載した内容を再編集しています