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プロのレシピ 2018.08.13

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人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★鯖とフォアグラと 青海苔コンソメジュレのテリーヌ

日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回は、コンソメやフォアグラを重ね、 サバの旨みを引き立てた一皿です。

越田商店の鯖文化干し

45年塩を継ぎ足す漬け汁で作る。 手作業、無添加を徹底したサバの干物

1947年創業の老舗干物店・越田商店では、約25種類の干物を販売する。中でも、「鯖文化干し」は人気で1972年より発売開始。塩と水のみで配 合した漬け汁に三枚おろしにしたサバを漬けて 塩を浸透させたあと、天日干しし、真空パックに詰めて販売する。漬け汁は発売当初のものに、塩のみを継ぎ足した熟成漬け汁で、日本では「くさや」以外に、この製法を 行なっているのは同店だけという。「熟成漬け汁によって青魚の臭みが消え るため、サバの牛乳味噌鍋、サバパスタといった洋食料理にもよく合います」と代表・越田英之氏は話す。サバ以外に花鯛、正才河豚、メヒカリ、ヤリイカ、柳カレイ、ノドグロなどの干物も揃う。Facebookで最新情報を配信中。

■越田商店 住所: 茨城県神栖市波崎8233-9 MAIL:mackerel_child_power@yahoo.co.jp URL:http://kosidasyouten.com/

 

鯖とフォアグラと 青海苔コンソメジュレのテリーヌ

ソテーして香ばしさを出した鯖文化干し と、青海苔入りのコンソメ、フォアグラ を層状に組み立て、和の要素を取り入 れたテリーヌ。牛骨などから抽出した自 家製コンソメの凝固作用を利用し、ゼラ チンを一切使わないことで、流れるよう な口溶けを表現している。
●参考売価1800円/原価500円 *写真はハーフサイズ

■材料(8皿分[長さ25cm×幅6cm 半月型 1本分])
フォアグラ…150g 塩…適量
胡椒…適量 日本酒(古酒)…適量
鯖文化干し…半身1切れ
サラダ油…適量
★自家製コンソメ(液状にもどしたもの)…300g
青海苔(生)…15g 田セリ…適量
ちいたけ(丸浅苑)(バターでソテーしたもの)…適量
★黒酢ソース…適量
ソ ースA(黒オリーブ、フキノトウ、味噌を和えた もの)…適量
ソ ースB(黒酢ソース★に、青海苔を加えたもの) …適量

★自家製コンソメの作り方
  牛骨、鶏のもみじを8時間以上煮込んでとった だしに、牛肉ミンチ、香味野菜、卵白を合わせ て温めながら練ったものを加え、煮込んで漉す。
★黒酢ソースの作り方
  黒酢とバルサミコ酢を1:1で合わせ、1/4程 度まで煮詰める。

■作り方
① フォアグラは塩、胡椒をし、日本酒にひと晩漬ける。ラッ プで巻き、湯煎で火入れする。
② ①の粗熱がとれたら、約1cm厚に伸ばす。
③ 鯖文化干しは中骨をそぎ、骨抜きをする。
④ フライパンにやや多めのサラダ油をひき、鯖文化干し を皮目から焼く。焼き目がついたら裏返し、油をかけ ながらじっくりと火を通す。バットごと氷にあて、焼 いたサバを冷やす。
⑤ コンソメに青海苔を加えて混ぜる。
⑥ 型に1/3量のコンソメを型に流し、氷にあてて冷やし 固める。その上に、④をのせて型の四方まで敷き詰め る。
⑦ 残りのコンソメの1/2量を流し、型に合うよう伸ばした ②をのせる。
⑧ ⑦の上に、残りのコンソメを流し、冷蔵庫に入れて冷 やし固める。
⑨ 型から抜いて約1.5cm厚にカットする。皿に盛り、田 セリとちいたけ、3種のソースを添える。

「鯖文化干し」を活かすPOINT
◦皮目からじっくりと焼き、 香ばしさを活かす
◦ コンソメに青海苔を足し、 サバの味と調和させる

【シェフ紹介】
kiki(東京・原宿)オーナーシェフ・野田雄紀氏

1983年静岡県生まれ。西焼津『Bon Courage』、パリ『Taillevent』『Petit Troquet』などで修業後、神楽坂『Lugdunum Bouchon Lyonnais』副料理長を経て、 2011年8月に『kiki』を開業する。
創造性豊かな料理は特に女性に人気で、客単 価は昼6000円後半、夜9000円〜。観光目的 の外国人客も多いという。
『kiki』では、フレンチをベースに日本食 材を取り入れた料理をコーススタイルで 提供。オーナーシェフ・野田雄紀氏が生 み出す味の融合を一皿に表現し、ガスト ロノミック(美食的)な料理を売りとす る。今回紹介する「鯖文化干し」は知人を通し て出会ったという。「塩を継ぎ足して作る 100%無添加のサバは、信念をもっ て手づくりする背景に共感しました」と話 す野田氏。生産者がどれほどの努力を重 ね、よりよい品を生み出しているかという 背景を知ることも重視している。
■住所/東京都渋谷区神宮前6-9-9  アヴニール表参道1F
http://kikioishii.com/

※月刊「近代食堂」2017年5月号に掲載した内容を再編集しています