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プロのレシピ 2018.10.09

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人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★トキシラズと季節野菜のホイル焼き

日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回は、トキシラズの旨みと脂を 旬の野菜に移した一品。

トキシラズ

脂ののりは秋サケより断然上。 初夏に身がおいしくなるトキシラズ!

イクラを抱える秋サケより、身に栄養がゆきわたり、脂がのっておいしい とされるトキシラズ。5月くらいから魚体も大きくなり、4㎏以上になっ てくると脂もどんどんのってくる。身も柔らかく、味わいも濃い。築地市 場の鮮魚を扱う㈱魚辰の平田雄二氏によると、体に厚みがあり、ウロコ がびっしりついているものが上物だという。撮影時は北海道日高沖のも の。『居酒屋 一』の樺山氏が使う魚貝は、魚辰の平田氏が築地で目利き したものだ。高級レストランから大衆的な店まで広範囲の飲食店と取引 する魚辰では、店の個性や料理に合わせ、タイ1尾とっても活〆、野〆と 締め方の異なるものを用意。野〆であっても刺身で使えるものなど、細 かくニーズに応える。そうした姿勢に信頼を寄せるシェフや料理人は多い

■問合先::㈱魚辰 TEL: 096-9039-4816">

 

トキシラズと季節野菜のホイル焼き

身が柔らかいため、おろし方に注意。身 を返すと身割れしやすいため、片側をお ろしたら中骨を上にしたままもう片側の 身をおろす。皮もおいしく食べてもらう ため、小麦粉を打って先に皮目を焼いて おく。一緒に包み焼く野菜はアスパラガ ス、そら豆など季節の野菜で。すだち で味を引き締める。
●参考売価1300円/原価450円

■材料(1人前)
トキシラズ切り身(100~120g)…1切れ
グリーンアスパラガス…1本
そら豆…適量
椎茸…1枚
塩、胡椒、薄力粉、サラダ油…各適量
バター…8g
すだち、濃口醤油…各適量

■作り方
①トキシラズを三枚におろす。身が柔らかいため、片側の身をおろしたら、身を返さずにもう片側を中骨の下 に庖丁を沿わせながらおろす。身をおろしたら、腹骨をすき取り、小骨を抜き、1切れ100~120gの切り身にする。
② グリーンアスパラガスは根元のかたい部分の皮をむき、食べやすい長さに切る。そら豆は塩茹でして薄皮を むく。椎茸は軸を取り、十字に飾り庖丁を入れる。
③ ①の切り身に薄く塩、胡椒をして薄力粉をまぶし、サラダ油をひいたフライパンで皮目をパリッとなる まで焼く。
④ ②のグリーンアスパラガス、そら豆はサラダ油をひいたフライパンで軽く炒め、塩、胡椒をする。
⑤ アルミホイルを広げて③、④、椎茸を盛り、バターをのせる。ぴっちり包んで炭火にのせ、5~6分蒸 し焼きにする。
⑥ 焼き上がったら器に盛り、すだちと醤油を添えて提供する。

「トキシラズ」を活かすPOINT
◦身割れしないよう身を返さ ずに三枚におろす
◦皮目をパリッと焼き上げて から身をふっくら蒸し焼きに

【シェフ紹介】
居酒屋 一(東京・永福町)店主・樺山一輝氏

都内のイタリアンや和食店を経験後、イ タリアンやフレンチをベースにした料理 とワインの店『ichi』をオープン。2年 後、同店2階に『居酒屋 一』をオープン。 現在は主に『居酒屋 一』の板場に立ち、 質の高い料理でファンを掴んでいる。
井の頭線永福町駅から徒歩2分の住宅地の一 角にある居酒屋。クオリティの高い刺身や一品 料理が味わえるため、遠方からも大人客を呼ぶ。
築地直送の鮮魚をはじめ、季節の野菜な ど、素材の鮮度にこだわり、その良さを 引き出す調理法で提供する店主の樺山一 輝氏。特に鮮魚は信頼する業者の目利き により、季節や産地だけでなく、その日市 場に出回る魚の中でも良いものを仕入れ ている。今回紹介するトキシラズは、「秋 サケよりも脂ののりがよく、身も柔らかい。 この時期だけの味を旬のアスパラガスや そら豆と一緒に余さず味わってもらいた い」とホイル焼きに仕立てた。
■住所/東京都杉並区永福1-44-8 中根ビル2F

※月刊「近代食堂」2016年6月号に掲載した内容を再編集しています