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プロのレシピ 2018.06.08

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醤で熟成感を加えたソースが決め手「仔鳩のロースト」
人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ

日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ!人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。第3回は、江戸時代から変わらぬ作り方を続ける発酵調味料、銚子山十の「ひ志お」。

銚子山十の「ひ志お」

ソースやドレッシングにと、多彩な用途に発展した醤油の原型

醤油の大生産地として知られる銚子の地で、江戸時代の手法のままに作られている銚子山十の「ひ志お」。“醤(ひしお)”は奈良時代にルーツを持つ発酵調味料で、大豆と大麦から麹を作り、塩水を加えて1年以上発酵熟成させたもの。このとき上がってくる上澄みの液体が醤油のルーツとされている。醤油屋で働く人たちの賄いにおかず味噌としても食べられていたという“醤”。「うちはたまたま作り続けてきました。それが日本の発酵食品が注目され、いまでは和食のみならずフレンチやイタリアン、中華のシェフにも使っていただいています」と銚子山十の店主・室井房治氏。銚子山十の“ひ志お”は水飴とオリゴ糖を加えて味を調整しているので、そのまま食べてもおいしい。業務用は1kg2000円。

■㈱銚子山十(TEL:0479-22-0403 http://www.hishio.co.jp/ )

フランス ラカン産 仔鳩のロースト
フォン・ド・ヴォーと醤のソース

醤油の素である“醤”は醤油よりも濃厚な風味を持ちながら、塩味がまろやかで、ソースの隠し味に最適。ハトの赤々しい肉に合わせ、赤ワインベースのソースに“醤”を加え、熟成された旨みやコクを感じるソースにする。アーティチョークの甘みがいいアクセントになる。
●参考売価3000円/原価1200円

■材料(1人前)
ハト…1/2羽
塩…適量
オリーブオイル…適量
黄ズッキーニ…適量
とうもろこし…適量
★アーティチョークのピューレ…適量
★玉ネギの炭…適量
★ドライ空心菜…適量
トゥムナムル(マイクロリーフ)…適量
★フォン・ド・ヴォーと醤のソース…適量
 赤ワイン…適量
 フォン・ド・ヴォー…適量
 銚子山十のひ志お…適量

■作り方
1 ハトは胸とモモに切り分け、塩をふる。足の骨の周りにアルミホイルを巻いて保護してから真空包装しておく。
2 注文が入ったら53.5℃のウォーターバスに入れ、約30分加熱する。
3 真空包装から取り出し、オリーブオイルをひいたフライパンでソテーし、焼き目をつける。輪切りにしたズッキーニも一緒にソテーする。
4 とうもろこしは実をほぐし、こんがりと焼く。
5 アーティチョークのピューレを温め、フォン・ド・ヴォーと醤のソースを作る。
6 器に3のハトを盛り、アーティチョークのピューレを置き、黄ズッキーニ、とうもろこしを盛り、フォン・ド・ヴォーと醤のソースを流す。玉ネギの炭をふりかけ、トゥムナムル、ドライ空心菜を散らす。

★アーティチョークのピューレ
刻んだ玉ネギをソテーし、アーティチョークを加え、水を入れてやわらかく煮込んでからミキサーにかけ、裏漉しする。濃度調節をして塩で味を調える。
★玉ネギの炭
スライスした玉ネギを油をひかずに煎っていくと真っ黒になる。これを細かくして使用。玉ネギの風味に炭の香ばしさが加わる。
★ドライ空心菜
空心菜の葉をフードドライヤーで乾燥させる。
★フォン・ド・ヴォーと醤のソース
赤ワインを煮詰めてフォン・ド・ヴォーを加え、さらに「ひ志お」を加えて混ぜ、溶かし込んだらバターでモンテする。

「銚子山十のひ志お」を活かすPOINT
・“ 醤”の濃厚味をフォン・ド・ヴォーに合わせ、より深いソースに
・大豆の粒感を残すことで食感でもソースの印象を深める

【シェフ紹介】
Restaurant C'EST BIEN(東京・南長崎)シェフ 清水崇充氏

調理師学校卒業後、三笠会館で5年イタリアンの経験を積んだのち、東長崎で37年続く実家の洋食屋に入る。ほぼ独学で学んだ本格フレンチを独自の感性で皿に作り、現在モダンフレンチのシェフとして注目を集める一人に。
店名の『C'EST BIEN』とはフランス語で「よい」という意味を持つ。実家である同店に入るにあたり、清水シェフは「やはりフレンチを」と本格フレンチを独学で学び始める。その中で名だたる若手シェフたちと親交を深め、彼らと“確かな食材”を求めて生産の現場にも積極的に足を運ぶように。銚子山十の“ひ志お”は、深い旨みとコク、まろやかな塩味、大豆の粒感を活かし、今回はハトの赤身の味わいに合わせてソースの隠し味に使用した。
父の作る昔ながらの懐かしみのある洋食、清水シェフの作るモダンでスタイリッシュなフレンチが同居する店。商店街の一角で地元客に愛されながら、遠方からもお客を呼ぶ。
■住所/東京都豊島区南長崎5-16-8 平和ビル1F
http://www.restaurant-cestbien.com/

※月刊「近代食堂」2017年8月号に掲載した内容を再編集しています