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プロのレシピ 2018.06.11
すっきりとした卵を活かした「酒粕入り半熟玉子焼き」
人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ
日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ!人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。第4回は、有機栽培の飼料米で育つ臭みのない自然な味わいの鶏卵「八十八卵」。
「八十八卵」
休耕田活用の飼料米と阿蘇山系の水で育てる純国産鶏が産む“お米の卵”
那須ファームでは、資源循環型農業を目指し、休耕田を活用した飼料米の栽培から取り組んでいる。飼料の地産地消により、輸送などで排出されるCO2の削減など、自然や環境にも優しい取り組みは、卵の味にもあらわれる。いまでは希少性の高い純国産の鶏を、抗生物質など余計な投与をせず、米と阿蘇山系の伏流水でできるだけ自然に近い形で育てる。その卵も、ごく自然な昔ながらの味わい。過剰なコク味もなく、さっぱりとしている。その自然な味わいにファンは多く、地元だけでなく、首都圏の百貨店や飲食店からのリクエストも増えている。同ファームでは、HACCP制度も早く取り入れ、その安全性でも信頼を得ている。
■㈲那須ファーム(TEL:03-6427-9543 / 090-8766-7444)
獺祭の酒粕そぼろ入り半熟玉子焼き
何よりも「八十八卵」の卵本来の自然の味をシンプルに味わってもらいたいため、調味料を使わずにオムレツにする。すっきりとクセも臭みもない卵に、香り高い日本酒「獺祭」の酒粕を使ったそぼろを具材として使用。仕上げにも適量ふりかけることで風味と香りを楽しませる。
●参考売価:850円/原価:264円
■材料(1人前)
八十八卵…3個
菜種油…適量
★酒粕そぼろ…大さじ1/2
■作り方
1 八十八卵を割り、酒粕そぼろを大さじ1/2程度加える。混ぜ合わせながらほぐし、菜種油をなじませたフライパンで半粥状のオムレツに作る。
2 器に盛り、酒粕そぼろを適量ふりかける。
★酒粕そぼろ
材料(作りやすい分量)
酒粕(獺祭)…500g
カツオ節、白ゴマ…各適量
濃口醤油…適量
作り方
1 酒粕を鍋に入れ、乾煎りして水分を飛ばし、カツオ節、白ゴマを加えてさらに煎り、濃口醤油を加えてなじませ、しっとりとしたそぼろに作る。
「八十八卵」を活かすPOINT
・調味せず、卵そのままの味を楽しんでもらう
・酒粕を煎り上げたそぼろで風味と香りをプラス
【店長紹介】
mus mus(東京・丸の内)店長 今田 篤子氏
同店を運営する㈱TABLEBEATに入り、飲食の世界へ。豚肉料理専門店の料理長時代には、徹底的に豚肉を研究。以来、全国の生産者との交流を深めながら、同店のメニュー開発に携わっている。
様々な産地や銘柄の豚肉を食べ比べた中で、その豚がどんなふうに生産されているのか、なぜ味に違いがあるのかと、実際に現地に赴き、生産者の話を聞くうちに「腑に落ちた」のが、生産者と消費者を結ぶレストラン立ち上げのきっかけになったと今田店長。同店では、真摯に食材に向き合う生産者の手による米や野菜、肉、調味料を使い、その思いがダイレクトに伝わるような調理法で提供する。自然に鶏を育てているため卵も自然の味わいという「八十八卵」はオムレツに。オムレツには獺祭の酒粕で作る酒粕そぼろを合わせ、シンプルながらストーリーのある食材を組み合わせてひと皿を完成させる。
店名の由来でもある“蒸す”料理を中心に、全国各地の生産者の顔の見える食材をシンプルに提供。自然派ワインや日本酒も豊富。
■住所/東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング7F
http://www.musmus.jp/
※月刊「近代食堂」2017年6月号に掲載した内容を再編集しています