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プロのレシピ 2018.06.22
人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★
「鯛一郎クン」を味わい尽くす中華の一品
日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回は注目のブランド養殖鯛「鯛一郎クン」を余すことなく使った中華の一皿です。
鯛一郎クン
エサで内臓強化し健康に。安定品質も魅力
鯛の名産地として知られる宇和島で、先代から40年以上にわたり鯛を養殖してきた水産会社によるオリジナルの養殖鯛「鯛一郎クン」。2003年より販売を開始した。
「天然由来の素材のみで作った添加剤をエサに加え、内臓を元気にしたら臭みが消えました」と代表取締役の徳弘多一郎氏。総脂肪酸量が一般の養殖真鯛の約2倍で、水分量が少ないという。旨みが強く、モチモチした食感が特徴だ。年中安定した品質を保ち、日持ちがよい点も支持されている。
■㈱タイチ(http://taichiro-kun.com/)
鯛の三種醤油炒め(豆香加吉魚)
ふっくらと仕上げた鯛の身の炒め物を、タイプの異なる3種類の醤油で調味した一品。程よく香りと旨みが加わり、繊細な鯛の味わいを引き立てている。さらに鯛のカマを素揚げして添え、鯛のアラでとったスープを調味に使うなど、鯛を味わい尽くす仕立てだ。
●参考売価1800円/原価540円
■材料(1人前)
鯛(「鯛一郎クン」) 70g)
鯛のカマ 1個
塩 適量
片栗粉 適量
★三種醤油のタレ 適量
山椒塩 適量
ヤングコーン 1本
★三種醤油のタレ
材料(1人前)
鯛のアラ(※)のスープ 45ml
濃口醤油 4g
シーズニングソース 3g
中国醤油 2g
砂糖 2g
酒 9g
長ネギ 10g
生姜 3g
パクチー 4g
ゴマ油 1g
水溶き片栗粉 10g
作り方
鯛のアラを20分ほど煮込み、スープを取る。3種類の醤油、砂糖、酒を鍋に入れて温め、鯛のアラでとったスープを加えてのばす。みじん切りのネギ、生姜、パクチー、ゴマ油を加え、水溶き片栗粉を加える。
■作り方
1 鯛は、三枚におろす。身の部分をサク取りし、1㎝ほどの厚さでスライスする 。カマも使用。アラはスープ用(※)に取っておく。
2 1の鯛の身に軽く塩をあて、薄く片栗粉をまぶす。160℃のサラダ油で表面が色付かない程度にさっと火を通す。
3 鍋に三種醤油のタレを入れ、2を加えて炒め合わせる。
4 1の鯛のカマは、180℃のサラダ油で3分ほど揚げ、山椒塩をかける。
5 ヤングコーンは、外皮をむいて中身を取り出し、焼き網にのせてさっと焼き、塩をふる。
6 4を皿に盛り付け、5のヤングコーンを外皮とともに飾る。
「鯛一郎クン」を活かすPOINT
◦ 身だけでなく、鯛のカマやアラも活用
◦ あえて野菜などは加えず、鯛の存在感を強調
【シェフ紹介】
東京チャイニーズ 一凛(東京・築地)店主 齋藤宏文氏
“生産者とお客をつなげる場”として、自店を位置づけている齋藤宏文シェフ。店で使うのは、自分で食べておいしいと感じた、こだわりを持って食材を作っている生産者の食材だ。生産者から食材に対する思いを聞き、料理と会話で生産者の思いまで伝えることを信条とする。
今回紹介してもらった「鯛一郎クン」は、「脂のりがよく、刺身や蒸し物でももちろんおいしいですが、炒め物にすると身がふわっとして他との違いが顕著です」と齋藤シェフ。また臭みが出にくく、日持ちするため使いやすいという。
調理法を変え、様々な料理に活用することで余さず使い切る。
『赤坂四川飯店』に20歳で入店し、11年間腕を磨く。2008年、中華やバル業態を展開する㈱ウェイブズに入社。系列の中華料理店『大天門』で調理長を務めたのち、2013年3月『東京チャイニーズ 一凛』を立ち上げ、調理・運営を統括する。“近い距離感でよき食材と空間を共有すること”がコンセプト。食材ありきで古今東西の技術を取り入れ、柔軟な発想で料理を提供する。
■住所/東京都中央区築地1-5-8 樋泉ビル1F
http://www.whaves.co.jp/ichirin/
※月刊「近代食堂」2015年7月号に掲載した内容を再編集しています