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プロのレシピ 2018.06.27
人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ
自然な甘さでほっこり「みたらし団子」
日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ!人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回は「米飴みたらし団子とうもろこし射込み」。もち米飴をつかったタレの香ばしさと自然な甘さが団子を包みます。
「もち米飴」
もち米と大麦麦芽を原料とする、とろりとふくよかな甘み
1822年創業の小笠原商店。まだ砂糖が普及していない時代、米の裏作として麦が栽培されてきた肥前の地で、もち米と大麦を原料に作られてきたのがもち米飴だ。ふかしたもち米に水を加えて粥に炊き、大麦麦芽を加えて糖化させる。ここから飴の原液を作り、鉄鍋で3分の1まで煮詰めていく。小笠原商店代表の藤田栄一氏が、昔から滋養が知られるもち米飴を佐賀県工業試験場で分析を行なったところ、「必須アミノ酸が入り、麦芽糖だけでなく、オリゴ糖も含まれていた」という。天然の甘味料としてマクロビオティックの人々にも注目され、海外からの引きも多い。その味わいは、食材を引き立てるやさしい甘さの中に香ばしい風味がある。調味料としても注目される。
■小笠原商店(TEL:0954-62-4530)
米飴みたらし団子 とうもろこし射込み
とうもろこしを練り込んだ白玉はイメージする大きさよりも小粒にかわいらしく作る。「もち米飴」のやさしい甘み、香ばしさを活かした深いコクのあるタレをからめながら、竹串でつまんで食べてもらう。
●参考売価800円/原価200円
■材料(仕込み量)
みたらしのタレ もち米飴…大さじ3
水…大さじ2
片栗粉…大さじ2
濃口醤油…大さじ2
てんさい糖…大さじ1山椒塩…適量
白玉団子
白玉粉…適量
とうもろこしペースト…適量
※とうもろこしを蒸してミキサーでペースト状にし、
裏漉しして塩少々を加えて昆布だしでのばしたもの。
青柚子…少々
作り方
1 鍋に水と片栗粉、濃口醤油、てんさい糖を合わせて火にかけ、よく練り混ぜ、とろみがついて透明感が出てきたら火からおろし、氷水にあてて冷ます
2 1が冷めたらもち米飴を加えて混ぜ合わせる
3 白玉粉にとうもろこしペーストを加え、耳たぶくらいのかたさに練る
4 3を小さく丸めて団子にし、熱湯で茹でて氷水に取る
5 水気を取ってから直火で香ばしく炙り、器に盛る。②のタレをたっぷりかけ、すりおろした青柚子をふる
「もち米飴」を活かすPOINT
・加熱せずに使うことで、香ばしく自然な甘みのタレに
・もち米飴の旨みがとうもろこしの甘さを引き出す
【店長紹介】
しち十二候(東京・丸の内)料理長 牧野太輔氏
御簾ごしのやわらかな光と季節のしつらえでお客をもてなす。夜の会席コースは7000円から。店名の『しち十二候』に表れている通り、日本料理において尊ばれる季節の味わいを会席スタイルで提供。そもそも七十二候とは立春や立夏など24節気をさらに5日ごとに分けたもの。それだけ繊細に季節を捉えてきた日本人の感性に応えるべく、名だたるホテルで料理長を務めた齋藤章雄氏を総料理長のもと、料理長の牧野氏が日本全国から取り寄せる“本物”の食材を使い、七十二候に基づいて料理を作っていく。
■住所/東京都千代田区丸の内1-9-1 東京ステーションホテルB1F
http://72kou.jp/
※月刊「近代食堂」2017年7月号に掲載した内容を再編集しています