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プロのレシピ 2018.08.01
とっておき「ニッポン食材」活用レシピ★
”塩辛バター”が味の決め手!生麩と野菜のオーブン焼き
日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回紹介する食材は、青森・八戸で作られるイカの塩辛「浜育ち」。バターと味噌を加えた万能調味料”塩辛バター”づかいに注目のオーブン焼きのレシピです。
イカの塩辛「浜育ち」
鮮度抜群のイカで作る、まろやかな塩辛
世界有数のイカの漁場として知られる青森・八戸の水産会社が、地元の獲れたてのイカを使用して作る塩辛。朝漁に出たトロール船が獲ってきたスルメイカを、その日のうちに冷凍保存し、鮮度を保ったまま使用する。イカは食べやすさを考え、小さめにカット。またイカは水分を多く含むためべしゃべしゃしたゆるい塩辛になりがちだが、同社では熟成の工程でしっかりと管理し、ほどよい固さを保っている。新鮮な材料と丁寧な製法により、生臭みを抑えた食べやすい塩辛に。さらに同社では、ハチミツを加えることで、まろやかで口当たりのよい甘口に仕上げている。
■マルヨ水産㈱(http://www.e-maruyo.com/)
生麩と野菜の塩辛バターオーブン焼き
イカの塩辛、バター、味噌という発酵食品3種類を組み合わせた”塩辛バター”を使用。淡白な生麩と旬の野菜に塩辛バターをかけてオーブン焼きにし、香ばしい香りと濃厚な旨みをプラスする。ふっくら、もちもちとした生麩と、しゃきしゃきのネギの食感の違いも楽しい一品。
●参考売価850円/原価340円
■材料(1人前)
生 麩(枝豆の生麩、金時草の生麩) 計80g
野 菜類(コリンキー、ズッキーニ、シメジ) 計80g
★塩辛バター 50g
深谷ネギ 1/4本分
黒胡椒 適量
★塩辛バター
■材料(1回の仕込み量)
イカの塩辛(マルヨ水産㈱「浜育ち」) 1kg
ガーリックオイル 100ml
無塩バター 450g
信州味噌 100g
作り方
1 イカの塩辛を、ガーリックオイルで炒め、完全に火を通す。
2 1、無塩バター、信州味噌をフードプロセッサーにかけ、ペースト状にする。冷蔵庫で保存する。一ヵ月ほど保存可能。
■作り方
1 生麩は、ひと口大にカットする。野菜も生麩の大きさに切り揃える。
2 1を器に入れ、塩辛バターをのせる。
3 250℃のオーブンで15分加熱する。
4 3に笹打ちにした深谷ネギをのせ、黒胡椒をかける。
イカの塩辛「浜育ち」を活かすPOINT
◦和洋の発酵調味料と組み合わせ、より濃厚に
◦イカの塩辛を調味料として使用し、汎用性を高める
【シェフ紹介】
新和食 到(東京・池袋) オーナーシェフ 中島 到氏
「地元の料理人や知人に聞いたりして、出身地の長野の食材はよく使っています。その他、食べ歩きをしたりして気になった食材を積極的に取り入れています」と中島シェフ。今回紹介するレシピは、実際に店で提供しているメニューで、人気メニューを集めたコースにも組み込んでいる料理だ。
「塩辛を調味料として使用し、バター、味噌と組み合わせた“塩辛バター”を料理に活用しています。『浜育ち』は甘みと塩味のバランスがよく、加熱してもおいしい。色々な塩辛を試してこの料理にはこれだと決めました」(中島氏)。
15歳で料理の道に進み、イタリアンの店で修業。その後、本格割烹店で和食を学び、複数の業態を展開する飲食企業にて、統括料理長として活躍する。2010年に独立し、東京・池袋に『新和食 到』を出店。イタリアンやフレンチの要素も取り入れ、自由な発想で作り上げた創作和食が評判に。日本酒やワインなど酒類も充実させる。
■住所/東京都豊島区南池袋2-23-4トミザワビル2F
※月刊「近代食堂」2015年10月号に掲載した内容を再編集しています