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プロのレシピ 2018.10.12

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人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★
スッポンの「にくしょう」炒め

日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピをお教えします。今回は「スッポンの「にくしょう」炒め」。スッポンの旨みを増す、合わせダレが味わいの決め手です。

にくしょう

旨みを増し、消臭効果も見込める。幅広く使える肉系発酵調味料

 アユを使った魚醤「鮎魚醤」で知られる大分の老舗醤油メーカーが、地元大分県産の地鶏「おおいた冠地どり」のレバーと心臓、塩を使って開発した新たな発酵調味料。丁寧に処理した内臓類に塩を加え、5、6ヵ月発酵させて作る。食材の旨みを増したり、臭みを消してよいところを引き立てたりする効果がある、使いやすい万能の旨味調味料だ。
「肉を焼くときに仕上げにかけると、臭みが消えていい香りになり、味わいにも深みが増します。ラーメン店からは、タレに加えるとおいしくなると言われます」と同社代表の原 次郎左衛門氏。

■合名会社まるはら(http://www.soysauce.co.jp/)問い合わせ先(email: info@soysauce.co.jp)

スッポンの「にくしょう」炒め

 スッポンのスープをとる際に出るスッポンの身を活用し、贅沢な炒め料理として提供。スッポンの身やエンペラを押し固めた煮凝りを、発酵調味料「にくしょう」を使った旨みのある合わせ調味料で調味する。
 臭みなく深い味わいと、ゼラチン質のほどよい食感が好評だ。

●参考売価800円/原価540円

■材料(一人前)
  ★スッポンの煮凝り…適量
   紫アスパラガス…1本
   白絞油…適量
   卵液…適量
   片栗粉…適量
  ★「にくしょう」の合わせダレ…大さじ1. 5
   水溶き片栗粉…少々
  ★スッポンの煮凝り
   ■材料(9人前)
    スッポン…2尾(一尾1~1.1㎏サイズ) 水…21㎏ 酒…1400g
    昆布…適量 生姜…適量
   <作り方>
    ① スッポンは、さばいて掃除し、水、酒、昆布、生姜とともに煮込む。
     アクを取り除きながら、全体量が2.6ℓになるまでゆっくり煮詰めていく。
    ② ①を深い容器に移し、スッポンを煮汁に浸した状態で1時間蒸す。
    ③ ②から固形部分を取り出す。昆布、生姜は取り除く。適度にカットする。
     エンペラ部分なども含めすべてを流し缶に入れ、押し固めて冷蔵庫に
     入れ、冷やし固める。液体部分は他の料理に活用する。

  ★「にくしょう」の合わせダレ
   ■材料(一回の仕込み量)
    にくしょう…290g 煮切り酒…160g ハチミツ…160g
   <作り方>
    ① 材料すべてを混ぜ合わせる。

    ■作り方
    1 スッポンの煮凝りを棒状にカットし、卵液に片栗粉を加えて混ぜ合わせたものに
      くぐらせた後、片栗粉を表面にまぶす。
    2 紫アスパラガスは、適度にカットし、素揚げする。
    3 鍋に白絞油を多めにひき、中火で①を炒める。表面にしっかり焼き色が付いたら、
      余分な油を取り除き、2と「にくしょう」の合わせダレ、水溶き片栗粉を加えて
      強火でさっと合わせる。
    4 皿に盛り付けて提供。

    「にくしょう」を活かすPOINT
    ◦ ハチミツ、酒と合わせ、使いやすい合わせダレに
    ◦ スッポンのクセを消し、旨みを増す

        •    

        【シェフ紹介】
        Chinese Restaurant 虎穴(フーシュエ) 店主 小松 仁 氏

        「築地で食材を見て回り、使ったことのないものを積極的に仕入れるようにしています」という小松シェフ。珍しい食材を積極的に取り入れ、既成概念にとらわれない斬新な料理として提供し、お客を楽しませている。
        「にくしょう」は、知人の紹介で1年ほど前より使い始めた。「クセがなく旨みが強く、何にでも合うので使いやすい。醤油と塩の中間位の感じで、味付けのバリエーションを広げる意味でも重宝しています」(小松氏)。スッポンの料理の他にも、肉系の料理によく使用している。
        ■住所/東京都中央区東日本橋3-5-16 仙石ビル 1F

        ※月刊「近代食堂」2016年7月号に掲載した内容を再編集しています