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プロのレシピ 2018.10.17
人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★
牛モモ肉の漬け焼 菊姫のアイスクリーム添え
日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回紹介するのは、にごり酒でつくるアイスクリームを肉の”ソース”として合わせた一皿。気鋭シェフのセンスが光るレシピです。
「菊姫」にごり酒
山廃仕込みのしっかり味。日本酒党にも好まれるにごり酒
こだわりの酒造りで知られる人気の蔵元が、酒造好適米の山田錦を使い贅沢に造ったにごり酒。にごり酒専 用にもろみを造り、発酵完了直前の甘味が出た状態で粗めにすり潰し、ざるで荒漉しして仕上げている。「アルコール度数は14度と日本酒にしては低めで、酸味は少なく甘味が多い。成分だけをみると頼りない味に思われるかもしれませんが、もろみがそのまま入っていて山廃仕込みということもあり、しっかりした味わいです」と菊姫合資会社・製造部酒質管理主任の永井剛史氏。やや冷やすと飲みやすく、少し熟成が進んだものはお燗して飲む人もいるという。毎年11月に売り出し、ほぼ通年流通している。
■菊姫合資会社(http://www.kikuhime.co.jp)
牛モモ肉の漬け焼 菊姫のアイスクリーム添え
牛モモ肉を薄口醤油、ワイン等に漬け込んで焼き上げ、にごり酒で作ったアイスクリーム、クレソンとチコリを添えて提供。アイスクリームがソースと口直しの役割を同時に果たす。肉汁の甘味、にごり酒の旨みと甘味、クレソンとチコリの苦味が絶妙のバランス。
●参考売価1300円/原価456円
■材料(1人前)
牛モモ肉 100g
漬け地(味醂2、赤ワイン2、薄口醤油1の割合で合わせたもの) 適量
ピュアオリーブオイル 適量
チコリ 適量
クレソン 適量
塩 少々
EXVオリーブオイル 適量
★菊姫のアイスクリーム 適量
材料(10人前)
にごり酒(「菊姫」)300ml、生クリーム100ml、卵黄1個分、グラニュー糖50g
作り方
1 にごり酒と生クリームを小鍋に入れて温め、ふつふつと沸いてきたら火を止める。
2 卵黄とグラニュー糖を混ぜ合わせ、1を少量ずつ加えていく。
3 2をバットに流し入れ、あら熱が取れたら冷蔵庫に入れて冷やす。固まってきたらフォークなどでかき混ぜることを何度も繰り返し、なめらかに仕上げる。
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■作り方
1 牛モモ肉を漬け地に漬け、ひと晩置いておく。
2 フライパンにピュアオリーブオイルをひき、漬け地から引き上げた牛モモ肉を強火でさっと両面焼く。
3 2の両面に焼き色が付いたら、180℃のオーブンで5~6分加熱する。
4 3を1~2分ほど温かい場所で休ませたのち、スライスする。
5 器に4を盛り付け、チコリ、クレソンを添える。野菜類に塩少々をふりかけ、EXVオリーブオイルをかける。菊姫のアイスクリームを添える。「菊姫のにごり酒」を活かすPOINT
◦しっかりとした旨みと甘味で肉が引き立つ“ソース”に
◦ 一皿の中で料理と酒のマリアージュを楽しませる【シェフ紹介】
namida(東京・下北沢) 店主 田嶋善文氏お酒との相性を考え、和洋問わずボーダレスな食材を駆使して料理を創り出す『namida』店主・田嶋氏。お酒、食材ともに一つひとつこだわって仕入れている。日本酒は、比較的西日本の蔵元のものを多く揃え、旨み、酸味のあるお酒を中心にチョイス。今回紹介する「菊姫」のにごり酒は、「甘味、酸味に加え、旨みがつよい。やさしい甘味があるから料理に寄り添える。一方でキレがあり、甘さが残らない。BBQなど肉料理との相性も抜群です」と田嶋氏。今回の料理ではその相性のよさを一皿の中で表現している。
創作料理店でアルバイトの後、25歳で本格的に料理の道を志し、和食店で修業を開始。料理長を務めたのち、イタリアンやカフェで経験を積みつつ独立に向け、ソムリエ、利き酒師、ふぐ調理師免許を取得。2014年7月『namida』を出店。
ソムリエ、利き酒師の資格を持つ店主がセレクトした旨口の地酒や自然派のワイン、それに合う料理を提供。客単価5000~6000円。
■住所/東京都世田谷区北沢2-28-7エルフェアシティⅡ・1階
※月刊「近代食堂」2015年5月号に掲載した内容を再編集しています
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