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プロのレシピ 2018.12.14

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人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ
早月鮎と実山椒の春巻き

日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。 今回は、「早月鮎と実山椒の春巻き」をご紹介します。アユの苦みと山椒の香りが絶妙な一品です。

林屋の早月あゆ

骨のやわらかさが身上の那珂川のアユ

「西の四万十川、東の那珂川」と称される
関東屈指の清流・那珂川。この地で昭和39年より
川魚を扱う林屋川魚店がアユの養殖に取り組み始めたのは
平成14年とまだ歴史は浅い。平成10年の那須水害後、
周囲の要望を受けてのことだ。現在、稚アユから若アユ、
子持ちアユまで、春から秋の季節ごとのアユを安定して供給する。
「早月あゆ」は30gサイズの小ぶりの若アユ。
池あげをこのサイズでとどめることで、「骨もやわらかく
焼き物にしてもおいしい」と林屋川魚店の店主・小林博氏。
その味は脂がのって天然よりも上と評価されるほどで、
和食店など飲食店での取り扱いも増えている。

■㈲林屋川魚店(TEL:0287-96-3222 http://www.nasu-hayashiya.co.jp/)

早月鮎と実山椒の春巻き

当初はクレソンと一緒に巻き込んでいたが、
「アユそのままの味にしたい」と思いついたのがこの形。
アユのペーストは、圧力鍋で仕上げることで
香りもワタの苦みも身の旨さも凝縮し、濃厚な味わいに。
骨のやわらかい「早月あゆ」はペーストにしてもなめらか。
実山椒の香りで清々しい余韻を残す。
●参考売価1200円/原価400円

■材料(一皿分)
アユのペースト(仕込み量)※1人前60g使用
 早月あゆ…30尾(1尾30g程度)
 実山椒…30g
春巻きの皮…1枚
水溶き小麦粉…適量
山椒塩…適量
 ※ 3回茹でこぼした実山椒をフライパンでカラカラに煎って細かくし、
   藻塩と合わせたもの。
揚げ油(白絞油)…適量

■作り方
1 アユのペーストを作る。アユと茹でこぼした実山椒を合わせて
 圧力鍋に入れ、ひたひた程度の水を加えて30分ほど圧力をかける。
 骨までやわらかくなったらフードプロセッサーにかけ、
 ペースト状にする。これを密閉容器に入れ、保存しておく。
2 注文が入ったら春巻きの皮を広げ、アユのペースト60gをのせ、
  水溶き小麦粉を糊にし、形よく包む。
3 170~180℃の油で色よく揚げ、半分に切って器に盛る。
  山椒塩を添えて提供する。

    「林屋の早月あゆ」を活かすPOINT
    ◦ 圧力鍋で炊いて丸ごとアユをクリーミーなペーストに
    ◦ 余分な調味料を一切使わず、旨みのある藻塩をつけ塩に

      【シェフ紹介】
      『旬菜 おぐら家』
      店主
      堀内 誠氏

      “旬菜”と冠した店名通り、旬の恵みを存分に
      楽しませる料理で多くのファンを掴む同店。
      魚貝は鳴門海峡でその日に獲れたものをその日のうちに仕入れ、
      野菜や米などは店主・堀内 誠氏の地元・山梨県産を主に使用。
      そうした食材に奇をてらわずに理にかなった方法で
      向き合う店主の真摯な姿勢に、同業の料理人や生産者も共鳴し、
      さらに上質な食材が同店には集まってくる。
      那珂川のアユは稚魚から子持ちまで天然ものも養殖ものも使うが、
      丸ごとペーストにする春巻きには「養殖でも味も香りも天然以上」と
      信頼する林屋の「早月あゆ」を使用。
      ■住所/東京都世田谷区池尻2-31-18 ライム池尻大橋2F

      ※月刊「近代食堂」2017年9月号に掲載した内容を再編集しています