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プロのレシピ 2018.12.19

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人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★
生ザーサイの香りと色を生かす、スープ仕立ての腸粉

日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回紹介するのは、生のザーサイを練り込んだ腸粉をスープ仕立てにした中華料理。フレッシュなザーサイの青々しい風味を生かした一品です。

吉野ハーブファームの野菜

色鮮やかなレストラン仕様の野菜をオーダーメイドで生産する

スタイリッシュで色鮮やかな野菜を200種類。『吉野ハーブファーム』代表の吉野悟氏の作る野菜は、レストラン仕様の野菜が中心。飲食店との密なコミュニケーションのやり取りから作付けする野菜はまさにオーダーメイドだ。例えば『文菜華』渡辺シェフからは“柏発の中国野菜を”との依頼を受け、ザーサイや花ニラ、サイシンなど、都内ペルー料理店向けには、ペルー料理に欠かせないフレッシュの唐辛子を生産する。初めて取り引きする場合は、必ず、農場を見学してもらうという吉野氏。都内や地元のレストランなどが主な取引先で、生産と消費の場が近いという地 の利を生かし、シェフとの密な会話から野菜を作っている。

■吉野ハーブファーム(http://www.yoshinoherb.com/)

ザーサイのライスクレープ 頂湯スープ

漬物のザーサイとは違った生のザーサイの青々しい香りと色を活かし、米で作る腸粉(ライスクレープ)に混ぜ込んだ。中の里イモのあんにも刻んだものを混ぜ込み、存在感を出す。豚、鶏、金華ハムからエキスを抽出した“頂湯”は店の自慢のスープ。究極の旨みで腸粉を食べてもらう。
●参考売価1296円/原価405円

■材料(30人前)
<ザーサイ入り腸粉>
 水 2㎏
 米 1㎏
 ザーサイ(葉) 300g
 浮き粉 120g
 コーンスターチ 320g
 片栗粉 78g
 サラダ油 30g
<あん>
 里イモ 適量
 塩 、白胡椒、ゴマ油、コーンスターチ 各適量
 ザーサイ 適量
 チンゲン菜 適量
 人参 適量 
 ネギ 適量
<スープ>
 頂湯* 適量(1人前150ml)
 干し肉* 適量
 ザーサイ(葉) 適量
* 頂湯/豚モモ肉と老鶏を熱湯で茹でてアクと汚れを取り除き、水と金華ハム、龍眼肉、白粒胡椒と一緒に約6時間蒸す。静かに漉してスープに。
* 干し肉/皮付き豚バラ肉をサク状に切り、焼いてコクを出した香味野菜(ネギ、生姜、ニンニク、唐辛子、ローリエ、山椒)と一緒に醤油ダレに漬け込み真空パック。この状態で4日間漬け込んでから、2~3週間風通しのよい日陰で干す。

    ■作り方
    1 水に米を漬けてひと晩おく。
    2 1をミキサーにかけ、なめらかになったらザーサイの葉も加えて回す。
    3 2に浮き粉、コーンスターチ、片栗粉、油を加えて練り合わせる。
    4 あんを作る。里イモをふかして皮をむき、ペースト状にして塩、白胡椒、ゴマ油で味を調え、コーンスターチを加えてつなぎにする。
    5 ザーサイ、チンゲン菜、人参、ネギは細かく刻み、4に混ぜる。
    6 3の生地をめん棒で薄くのばし、約15cmの円形に抜き、5のあんを1個につき約10g包み、好みの形に整える。器に入れ、強火の蒸し器で30~40分蒸す。
    7 頂湯に細かく切った干し肉を入れて温める。
    8 蒸し上がった6の腸粉を提供用の器に入れ、7のスープを干し肉ごと張り、色よく茹でたザーサイの葉を添える。

    「吉野ハーブファームの野菜」を活かすPOINT
    ◦味が濃く、香り高い露地ものの生ザーサイを主役に
    ◦ザーサイは腸粉、あん、彩りで存在感をアピール

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    【シェフ紹介】
    中国料理 文菜華(千葉・柏)オーナーシェフ 渡辺展久氏

    中国料理で「旨み」と言えば、うま味調味料のイメージが強い。だが、渡辺シェフの旨みに対するアプローチは「素材の持っている旨みをいかに引き出し、“味”にしていくか」ということ。だから、素材にこだわるのは必然。そのほとんどがシェフの地元である千葉県産であり、柏市産だ。今回紹介する『吉野ハーブファーム』では、オーダーメイドで中国野菜を作ってもらっている。「仕入れた時の新鮮さがまったく違う。この柏でしか出せない“味”が生まれるんです」と渡辺シェフ。珍しい生のザーサイのほか、花ニラなどもリクエストする。

    千葉県柏市出身の1978年生まれ。アルバイトをきっかけに中国料理に目覚め、調理師学校へ。卒業後、『聘珍樓』などで広東料理を学び、26歳で独立。2007年に『中国料理 文菜華』をオープンした。旨みを引き出す独自の技法で注目を集める。
    素材に恵まれた日本の“広東料理”を提唱し、遠方からもお客を呼ぶ名店。ランチは2160円~、ディナーは4860円~その味を楽しめる。
    ■住所/千葉県柏市東上町20-2

    ※月刊「近代食堂」2016年3月号に掲載した内容を再編集しています