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プロのレシピ 2019.01.09
人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★
四万十の菜花を使った、春を味わう中華の一品
日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回はこれからの季節に旬を迎える春野菜「菜花」を使った中華の一品を紹介。
四万十の菜花
春野菜らしい苦味と甘み。やわらかな葉の部分も活用
清流で知られている四万十川沿いは、菜花の栽培がとても盛ん。中でも㈱丸長青果では、かつて町おこしの一環として地元の農家が開発し、関東から移住した農家が引き継いで栽培している品種を、直接取引で取り扱っている。農薬を極力控えて減農薬栽培しており、花部分は爽やかな苦味が、茎部分には甘みが際立つ、春野菜らしい味わい。また通常市場に流通している菜花は、流通しやすさを考慮しほとんど葉が取り除かれているが、同農家の菜花は葉を多く残してある。「葉はやわらかくて味がのりやすい。鮮度がよいので水分が飛ばず、取れたての瑞々しさが味わえます。」と㈱丸長青果 専務取締役 長谷川大介氏。
■㈱丸長青果((http://maruchouseika.com/)
四万十菜花の湯引き ピータン塩漬け卵ソース
大ぶりの菜花をシンプルに茹で、アヒルの塩漬け卵やピータンを使ったインパクトのあるソースをかけて提供。鮮やかな緑色で目を楽しませる。「四万十の菜花」はクセが少ないもののしっかりとした味わいで、強い味わいのソースをぶつけることで味わいがより引き立つ。
●参考売価1200円/原価250円
■材料(1皿分<4人前>)
菜花(約20㎝・四万十の菜花) 4本(170g)
水 適量
アヒルの塩漬け卵の黄身(一度蒸らして裏漉ししたもの) 20g
長ネギ 8g
生姜 4g
清湯 100g
塩 2g
紹興酒 2g
オイスターソース 4g
ピータン 1個
胡椒 適量
水溶き片栗粉 適量
ネギ油 5g
フライドガーリック 4g
※清湯(チンタン)
鶏ムネ肉でとった澄んだスープ。鶏ガラスープで代用可能。
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■作り方
1 菜花は、根元部分に近い茎の部分の皮をむき、そうじする。
2 鍋に湯を沸かし、油(分量外)少量を加えてさらに温度を上げる。1を根元部分のみ湯に入れ、ある程度火が通ったら、全体を茹でて葉の部分にも火を通す。食感が残る程度で引上げ、水気を切る。
3 長ネギと生姜を薄切りにし、アヒルの塩漬け卵の黄身を加えて強火で炒める。しっとりしてきたら、清湯、塩、紹興酒、オイスターソースを混ぜ合わせたものを加えて混ぜ合わせながら強火で加熱する。ピータンを刻んだもの、胡椒を加えて味を調える。
4 ゆるめに溶いた水溶き片栗粉でとめ、ネギ油を加えてのばし、フライドガーリックを合わせる。周りの部分が泡立つようにふつふつとしてきた位で火を止める。
5 器に2を置き、3をかける。「四万十の菜花」を活かすPOINT
◦茎から茹ではじめ、ほどよく食感を残す
◦しっかりした味わいの菜花に強い味わいのソースをぶつける【シェフ紹介】
中国料理 天廣堂(千葉・松戸)代表取締役・料理長 廣田資幸氏日本人に馴じみ深い食材や中華料理をベースに、驚きや新しさを感じさせるメニューを提供している『中国料理 天廣堂』。食材選びに関しては「餅は餅屋」と考え、専門家に自店の好みを伝えつつ、“このような食材を使いたい”と相談し、サンプルをもらった後に実際に調理して味を確かめている。現在野菜類は、全国の契約農家からこだわりの野菜を仕入れている㈱丸長青果に依頼。内容はおまかせで、まとめて段ボールで届けられる。毎回内容が異なるため、箱を開けてからメニューを考えなくてはならないが、「毎週出会いがあり、勉強と驚きの連続。食べてみて発想を膨らませています」と店主の廣田資幸氏。今回使用した「四万十の菜花」も、㈱丸長青果を通して仕入れたものだ。
ホテルレストランを経て、千葉・松戸の『榮鳳(エイホウ)』に14年勤務。内7年は調理長を務める。その後松戸の中国料理店の総料理長を6年勤め、独立して2013年6月に『中国料理 天廣堂』をオープン。
“食べ手が主役”をモットーに、地元のお客に必要とされ、喜ばれるような料理を提供。昼はランチセット、夜はコースを中心に提供する。
■住所/千葉県松戸市本町14-14
※月刊「近代食堂」2015年3月号に掲載した内容を再編集しています
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