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プロのレシピ 2018.11.12
人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★秋グミの実のタルト
日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回は生のグミの実をのせた 甘酸っぱい斬新なタルトです。
森と畑の学校の秋グミの実
秋が旬の甘酸っぱい赤い実。 ジャムなどに加工して酸味を活かす
「秋グミ」とは、グミ科グミ属の木で英語表記は「Russian Olive」。「秋グミ」 の旬は11月下旬頃だが、5月頃が旬の「春グミ」という品種もある。秋 グミの実は赤色でキリッとした甘酸っぱさが特徴で、多少のえぐみがあ る。熱と糖分を加えるとえぐみが軽減するため、生食のほか、ジャムやソー スとして食すことが多いという。生産元の神奈川・横須賀「森と畑の学校」 オーナー・伊藤 力氏は「実を大きくし、味を濃くするためには“土作り” が大事。チップや草、食品加工の副産物などを与えた土で育てています」 と話す。森と畑の学校では、秋グミの実に、神奈川・葉山産の無農薬ゆず、 きび砂糖を合わせて煮詰めたジャムも販売している。
■問い合わせ先:森と畑の学校 TEL:090-1115-9605 (https://www.facebook.com/Moritohatakenogakkou/)
秋グミの実のタルト
完熟の生の秋グミを立体的に盛り付け
た斬新なデザート。秋グミだけを食べ
るとえぐみが残るが、クレーム・ダマ
ンド入りのタルト台に自家製グミジャム
を塗ってから、グミの実を盛ることで
甘み、酸みのバランスをとる。ほど良
い甘みが口の中に広がるデザートに。
●参考売価480円/原価120円
■材料(2皿分)
★タルト台…2台
★秋グミの実のジャム…適量
秋グミの実(生)…100g
ナパージュ…適量
粉糖…適量
★タルト台
材料(4台分<長さ8cm×幅4cmタルト型>)
バター(無塩)…90g 粉糖…60g 卵黄…2個分 薄力粉(ふるったもの)…150g ★クレーム・ダマンド…適量
作り方
① ボウルにバターを入れて混ぜ、なめらかな
状態にする。
② ①に粉糖を加えて混ぜ、さらに卵黄を少し
ずつ加えて混ぜる。
③ ②に薄力粉を加え、さっくりと混ぜる。ひ
と固まりにしてラップをし、冷蔵庫で約1時
間休ませる。
④ ③をめん棒で約3mm厚に伸ばす。
⑤ ④を型に敷き込み、クレーム・ダマンドを
流す。180℃のオーブンで約15分焼く。
★クレーム・ダマンド
材料(4台分)
バター(無塩)…150g 粉糖…150g 全卵…3個 アーモンドパウダー(ふるったもの)…150g
作り方
① ボウルにバターを入れて混ぜ、なめらかな状態にする。
② ①に粉糖を加えて混ぜ、さらに全卵を少しずつ加えて混ぜる。
③ ②にアーモンドパウダーを加え、さっくりと混ぜる。
★秋グミの実のジャム
材料(仕込み量)
秋グミの実…1kg グラニュー糖…300g
作り方
① 鍋に材料すべてを入れて火にかける。実がやわらかくなったら火
を弱め、約20分煮詰める。
■作り方
① 粗熱がとれたタルト台の表面に秋グミの実のジャムを塗る。
② ①の上に秋グミの実を盛り、ナパージュを塗る。
③皿に粉糖を振り、②を盛り付ける。
「秋グミの実」を活かすPOINT
◦生で使い、キリッとした酸味
と食感を活かす
◦自家製ジャムと合わせてほ
どよい甘さを足す
【シェフ紹介】
La Cucinetta ESSELUNGA(神奈川・長谷)シェフ・田中勝也氏
1982年、神奈川県生まれ。洋食店を営む伯
父の影響で食に興味を持つ。神奈川『葉山
ホテル音羽ノ森』にてフレンチを学んだ後、
2006年に『ナディア』(現在閉店)に入店
し、イタリアンの基礎を学ぶ。2009年、『エッ
セルンガ』の開業と同時に料理長に就任。
店内は掃き出しのガラス戸越しに美しい庭が
見渡せ、風情を感じながら食事を楽しめる。
客単価は昼3000円、夜6000円。
築100余年の古民家を活用し、主婦層や
ハレの日利用で賑わうイタリアン『エッセ
ルンガ』。2009年5月の開業時からシェフ
を務める田中勝也氏は、食材の味や鮮度
にこだわりを持ち、自らの足を使って生産
者を訪ね、食材の育つ環境から体感する
ことを怠らない。今回紹介する、「秋グミ
の実」は野菜の契約農園を訪ねて教わっ
た食材だという。「地元・神奈川県産の秋グミの実は、生の甘酸っ
ぱさが活きたタルトに仕上げました」(田
中氏)。野菜は基本、無農薬・減農薬の地
元農家から仕入れ、魚貝は相模港や三崎
港から毎朝仕入れるなど新鮮な地元食材
を使い、ワンランク上の料理を目指す。
■住所/神奈川県鎌倉市長谷1-14-26
https://esselunga2009.tumblr.com/
※月刊「近代食堂」2017年02月号に掲載した内容を再編集しています