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プロのレシピ 2018.12.17
人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★黒キャベツの蒸し煮
日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回は蒸し煮で食感をやわらかく仕立て、 だしの風味が染みた一品です。
松澤農園の黒キャベツ
目新しさと味の濃さが魅力。 煮込み、炒めものに向く西洋野菜
黒キャベツはイタリア野菜の一種で、イタリア・ トスカーナ地方が原産と言われている。結球 しない葉キャベツ・ケールと同じ仲間で、「カー ボロネロ」とも呼ぶ。葉の中心に太い葉脈が ある点が特徴で、味は一般的なキャベツより も濃い。旬は11〜3月の冬季で、霜が降りる時期ほど甘さが増す。黒キャ ベツを2015年8月から栽培する松澤農園・松澤裕子氏は「煮込んでも 煮崩れしにくいので、料理が映えます。卵との相性がよいので、一緒に 炒めてもおいしいです」と話す。松澤農園では、他にもシュガーローフ やトレビーゾなど10種以上のイタリア野菜を栽培する。
■松澤農園
黒キャベツの蒸し煮
冬が旬の黒キャベツを使い、蒸し煮
にしてだしを染み込ませた一品。パン
チェッタの旨みと塩気がほどよいアク
セントになり、全体の味が引き立つ。仕
上げにグリュイエールチーズを散らす
ことで風味とコクをプラスする。ブルー
チーズもよく合う。
●参考売価850円/原価297円
■材料(1人前)
黒キャベツ…7枚
塩…適量
A
オリーブオイル…20ml
パンチェッタ(刻んだもの)…10g
B
だし(カツオと昆布でとったもの)…80ml
酒…5ml 塩…少々
グリュイエールチーズ…適量
■作り方
①黒キャベツは芯を取り除き、3等分に切る。塩を加えた熱湯で軽く茹で、ザルにあげる。
② 鍋にAを入れて炒めた後、①を加えて葉がしんなりするまで炒める。
③ ②にBを加えてひと煮立ちさせ、蓋をして弱火で約5分煮る。
④皿に盛り、削ったグリュイエールチーズを散らす。
「黒キャベツ」を活かすPOINT
◦下茹でしてアクを取り除い
てから調理する
◦素材を蒸し煮にすることで
だしの風味とマッチさせる
【シェフ紹介】
うみとはたけ ぽつらぽつら(東京・渋谷)店主・米山 有氏
1979年、神奈川県生まれ。23歳で料理の
道に入り、ダイニングや居酒屋などで修業
後、フレンチ『レストラン フォレスト』に
入店。2年間修業後、2009年7月に『ぽつ
らぽつら』を独立開業し、2015年5月、同
店近くに2店舗目『うつらうつら』を出店する。
店内は厨房が見渡せるカウンター12席とテー
ブル8席。日本酒約20種のほか、店主自ら厳
選した日本ワインを100種以上揃える。
「うみとはたけ」というサブネームの通り、
魚貝・野菜ともに目利きした食材を毎朝仕
入れている東京・渋谷の『ぽつら ぽつら』。
全体の6割が女性で年配客も多い同店では、
和をベースにしたオリジナル料理をメイ
ンに提供する。今回紹介する「黒キャベツ」
は店主・米山 有氏の自宅そばにある松
澤農園で出会った品。「白菜やホウレン
草といった定番以外の冬野菜を探してい
た時に、出会ったのが黒キャベツでした」(米山
氏)。
■住所/東京都渋谷区円山町22-11堀内ビル1F
http://www.poturapotura.com/
※月刊「近代食堂」2016年12月号に掲載した内容を再編集しています