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プロのレシピ 2018.11.26
人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★筍ご飯
日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回は、薄口醤油のみで調味して 米の甘みを引き立てた一品です。
EM栽培の ヒノヒカリ
EM栽培を取り入れた無農薬米。 おかずと合う“自然な甘み”が特徴
創業60余年の大橋農園では、約30年前からEM栽培を取り入れた農法 を行なう。現在は2代目・大橋辰久氏によって、米、トマト、茶葉の3種 を栽培。「EM」とは微生物の中から、自然界を浄化する働きや物質の生 合成を行なう働きを持つ有用微生物を採種し、人工的に培養させたもの を指す。EM栽培とは、「EM」の培養液を散布して育てる自然農法の一 種である。「EM栽培によってできた土質と、区内を流れる藁わら科しな川がわの水質 のよさが揃い、よりおいしい米が育ちます」と大橋氏。炊飯は土鍋や鋳 物などを使い、自然に近い方法で炊くと一層おいしさが増すという。香 り高くて自然な甘みがあり、粒のしっかりとした食感が特徴的だ。EM栽 培は量産ができないため、例年、収穫直後8月末には販売が終了する
■問い合わせ先:大橋農園 住所: 静岡県静岡市葵区吉津755 TEL: 090-2929-5702
筍ご飯
筍の旨みと薄口醤油のみで米の甘みを
引き立てた炊き込みご飯。修業時代か
ら愛用していた鋳物ホーロー鍋「スト
ウブ」を使ってふっくらと炊き上げる。
事前にザルでふるって角が欠けた米を
落とすなど、丁寧な仕込み作業からも
おいしさを高める。
●参考売価550円/原価200円
■材料(15人分)
米(EM栽培のヒノヒカリ)…6合
★筍(タケノコ王の筍、下茹でしたもの)…500g
A
★筍の茹で汁…1.2L
薄口醤油…50ml
★筍の下茹で
① 筍は皮をむき、皮はとっておく。
② 身の部分は2等分(もしくは4等分)にカットし、水から茹でる。
③ 沸騰したら弱火にして約1時間茹でる。火を止めて、半日おく。
④ ①でとっておいた皮も同様に別の鍋で茹でて、茹で汁をとっ
ておく。
⑤ ③と④で残った茹で汁に1%相当の塩を加え、茹でた筍を浸し
て冷蔵庫で保存する。茹で汁も料理に使うため、とっておく。
■作り方
① ザルにヒノヒカリを入れてふるい、粒の欠けたヒノヒカリをふるい落とす。ザルにボウルを重ね、浄水
で軽く洗った後、水道水で2回洗って水気をきる。最後に浄水で手早く洗い、ザルを上下に振って
水気を充分にきる。
② ①を鋳物ホーロー鍋に移し、Aを加える。1時間ほど置いて米粒に味を浸透させる。
③ ご飯を炊く。中強火にかけて吹き出しはじめたら、蓋を開けて底からかき混ぜる。蓋を再度して約5分、
ごく弱火で火を通す。火を止めて約5分蒸らす。
④ 炊飯ジャーに、③のご飯とスライスした筍を数回に分けて移し、米粒をつぶさないよう丁寧に混ぜ合わ
せる。
「EM栽培のヒノヒカリ」を活かすPOINT
◦だし汁を加えたら1時間置き、
米粒に味を浸透させる
◦途中で蓋を開けて混ぜ、火
の入り方を均一にする
【シェフ紹介】
階段ノ上ノ食堂(東京・吉祥寺)店主・浜名 晃氏
1975年東京都生まれ。大学卒業後、料理
の道へ。すし店をはじめ、和食割烹、創
作ダイニング、鉄板焼などの様々な修業
経験を経て、すし店を営む祖父の引退後、
その店舗の2階を借りて2015年12月、『階
段ノ上ノ食堂』をオープンする。
各定食(1300円〜・税込)に前菜としてサラ
ダのほか、小さいおかず5種が付くなど、コー
スのような提供法が人気。
店主・浜名 晃氏は「質のよい食事をリー
ズナブルな価格で食べてほしい」という
信念から、2015年12月に『階段ノ上ノ
食堂』を開業。その日仕入れの食材から
メニューを決め、昼夜ともに日替り5種の
定食を提供する。今回紹介する「EM栽培のヒノヒカリ」は修業
先で扱っていた米で、その際に生産元の
大橋農園に出向いて交流を深めていった
という。「自然の甘みが魅力で、おか
ずの味わいとよく合う点が好きです」と浜
名氏。身近な情報を大切に、例えば、ト
マトをケース購入した際、気に入れば箱
に記載された生産元に電話するなど、生
産者との交流を欠かさない。
■住所/東京都武蔵野市吉祥寺南町1-2-7 2F
http://kaidan-shokudo.tokyo/
※月刊「近代食堂」2017年3月号に掲載した内容を再編集しています