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プロのレシピ 2018.08.06
人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★
ファーム小川の柏野菜のオー ブン焼き ポルトガル式ソース
日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回はカレー風味のソースを かけた野菜が主役の一品です。
ファーム小川の 夏野菜
害虫の天敵である「虫」を利用し、 無農薬野菜を100品目以上栽培する
「ファーム小川」は江戸時代から代々続く千葉県・柏市の農家。現在の 代表は小川幸夫氏が引き継ぎ、トマト、ブルーベリーを主力に、100品 目以上を栽培している。栽培はすべて無農薬で行ない、一番の特徴は「虫」 を利用している点だ。作物につく害虫の天敵を利用して作物を守る方法 である。その方法は「害虫のアブラムシと、天敵であるテントウムシを 共存させる」イメージに近いと小川氏は話し、「生態系のバランスを見 守るのが自分の仕事」だという。今回使用した野菜は栗カボチャ、玉ネギ、 インカルージュ、ニガウリ、甘長唐辛子、万寿満ナスの6品。皮が赤いジャ ガイモ・インカルージュや、全体が緑色の万寿満ナスなど、個性のある 品種も数多く手掛ける。
■ファーム小川 住所:千葉県柏市南増尾4-1-1
ファーム小川の柏野菜のオーブン 焼き ポルトガル式ソース
中国広東省・マカオで親しまれているグ
ラタンに近い料理で、野菜にポルトガル
ソース(葡汁)をかけて焼いた一品。ソー
スにはカレー粉とココナッツミルクを加
え、スパイシーかつ、まろやかな味わい
に仕上げる。今回は栗カボチャやゴーヤ
など夏野菜を使用した。
●参考売価2160円/原価452円
■材料(材料1人分/幅11.5cm、深さ4.5cmの楕円型ダッチオーブン使用)
ファーム小川の夏野菜(栗カボチャ、玉ネギ、インカルージュ、ニガウリ、甘長唐辛子、万寿満ナス)…適量
植物油…適量
★ポルトガルソース…適量
パン粉…適量
★ポルトガルソースの作り方
材料(作りやすい分量)
バター(無塩)…40g 薄力粉(ふるったもの)…50g 鶏ガラスープ…420g
A
醤油…12g 塩…7g 胡椒…少々 上白糖…3g カレー粉…15g
B
ココナッツミルク…80g 生クリーム(38%)…50g
★作り方
① 鍋にバターを入れて火にかけ、溶かす。薄力粉を入れて
練るように混ぜ、粉に火を入れる。
② ①に鶏ガラスープを少しずつ加えて混ぜ、ペースト状に
する。
③ Aを加えて混ぜ、味を調える。仕上げに、Bを加えて全体
をよく混ぜる。
■作り方
① 夏野菜はすべて食べやすい大きさにカットする。
② ①を植物油でサッと油通しした後、湯通しし、野菜に6割程度火を入れる。水気をよく切る。
③ ミニダッチオーブンの中に、②をバランスよく入れる。その上に、ポルトガルソースを流してパン粉を
ちらす。
④ 180℃のチャーシュー窯(または、オーブン)で10~15分焼く。木皿にのせて提供する。
「ファーム小川の夏野菜」を活かすPOINT
◦ 軽く油通しをし、野菜の旨
みを閉じ込める
◦ スパイシーなソースと合わ
せ、味を引き立てる
【シェフ紹介】
中国料理 文菜華(千葉・柏)オーナーシェフ・渡辺展久氏
1978年、千葉県柏市生まれ。調理師専門
学校卒業後、『聘珍樓』などで広東料理を
学ぶ。2004年、千葉・柏『アジアンヌー
ドル展』を開業(現在、閉店)。2007年、
千葉・柏『文菜華』を開業。近年、飲食
店の総合プロデュースなども手掛ける。
「心身を潤す体によい料理」をモットーに独自
の広東料理を提供。近隣のお客に加え、遠方か
らの目的客も。客単価は昼5000円、夜12000円。
「食べて健康に」というコンセプトのもと、
旬の食材を使った料理を、主にコースス
タイルで提供する千葉・柏の『文菜華』。
食材は国産にこだわり、ほとんどが地元
である柏市産だ。オーナーシェフ・渡辺
展久氏は、出身地・柏市の地域活性化を
目的に、飲食店と農家をつなぐ活動にも
力を注ぐ。今回紹介する食材の、「ファーム小川の夏野菜」の生産者とは7〜8年前に出会ったという。「野菜の小川
さんとは、柏市・農政課のイベントで知り
合いました」と渡辺シェフ。同店は冷凍
品を一切使わないことも特徴だ。ほか、干
しアワビは輸入品ではなく、千葉・千倉で
海女が獲ったものを干してもらい、直接
入荷している。
■住所/千葉県柏市東上町2-2
http://bunsaika.com/
※月刊「近代食堂」2017年9月号に掲載した内容を再編集しています