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プロのレシピ 2018.04.27
人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★春が旬!三浦の春キャベツを使った温製サラダ
日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。第1回は早春から春にかけて出回る、やわらかく甘みの強い三浦の春キャベツを使った温製サラダです。
三浦の春キャベツ
「本春」と市場で区別される、水分が多くやわらかい春キャベツ
春先からゴールデンウイーク頃まで関東で出回る春キャベツのほとんどは三浦半島で栽培されているもの。築地市場内の政義青果代表取締役・近藤義春さんによると、「水分が多いので葉がやわらかく、甘みが強い」のが特徴だという。
キャベツの品種には葉がかたいものとやわらかいものがあるが、三浦のキャベツは葉のやわらかい金系201号という品種。最近では、春キャベツの人気により、他の品種でも春キャベツがうたわれるが、市場ではそれらと区別して“本春(ほんぱる)”と呼んでいるという。
「この時季のキャベツを味わうのなら、軽く茹でておかか醤油がおすすめ」(近藤さん)。それだけ甘みが強い。
■(株)政義青果(☎03-3541-6549)
カキと三浦キャベツの温製サラダ
店をまたいで20年以上作り続けている人気メニュー。カキの旨みが出た茹で汁でキャベツを茹でることで、カキの旨みをキャベツに移し、味のなじみもよくする。マヨネーズと合わせるカレーパウダーは風味を効かせるというより、香りをほんのりつけるイメージ。水っぽくならないよう水気を取ってから和える。
●参考売価1200円/原価480円
■材料
キャベツ(三浦の春キャベツ) 1/8個
カキ(むき身) 6個
塩 適量
マヨネーズ 適量
カレーパウダー 適量
千寿葱 2本
メジマグロ 1/4尾
粗挽き黒胡椒 適量
鍋地(昆布とカツオ節のだし7、みりん1.5、薄口醤油1.5の割合) 適量
■作り方
1キャベツはざく切りにする。
2マヨネーズにカレーパウダーを加えて混ぜ合わせる(a)。カレーパウダーの量は少し香りが立つ程度にする。
3鍋に湯を沸かして塩を加え、カキを入れ、90℃の湯で2分程度茹でる。
4カキをザルに取ってから1のキャベツを加え、さっと茹でてザルに取る。春キャベツ以外の場合は、様子を
見てやわらかくなるまで茹でる。
5キャベツの水気を布巾で軽く取り(b)、カキと一緒に2に加え、ざっくりと混ぜ合わせ(c)、器に盛る。
「三浦の春キャベツ」を活かすPOINT
◦ やわらかい春キャベツはさっと茹でて食感を残す
◦ カキは身が固くならないよう火を通しすぎない
【シェフ紹介】
葡呑(東京・西麻布)店主・中湊 茂氏
その日のメニューは、その日の仕入れによって決めるという中湊氏。魚貝は三浦半島の佐島漁港や築地市場に直接出向き、独自の目利きで旬のものを仕入れる。野菜も同じく、市場以外に農家の直売所などもめぐり、時季に本当においしいもの、ちょっと珍しいものを選ぶ。
「月に1度来てもらうより、週に何度か来てもらいたい。そのためには、作り込みすぎない、食べ疲れしない料理が大事」
と、素材のよさを生かすことに主眼を置く。
三浦産の春キャベツはやわらかさと甘みを生かし、カキの茹で汁でさっと茹でて、旨みを引き立てるカレーの香りを効かせたマヨネーズでカキと和えるだけ。相性のよい魚貝と合わせてシンプルに調理しつつもプロの感性を学べる一品だ。
鮮魚店の三代目として生まれ、豊富な魚貝の知識を培う。調理師学校を経てフランス料理店などで経験を積み、魚貝とワインがメインの高級割烹店を展開。より気軽に利用できる店をと2009年“自然派ワインと和食”の『葡呑』をオープン。古民家を改築した店舗は有名デザイナーの手による。懐かしい雰囲気の中で料理とワインを楽しめる店として人気で、海外観光客も訪れる。
■住所/東京都港区西麻布4-2-14
http://www.bunon.jp/
※月刊「近代食堂」2016年4月号に掲載した内容を再編集しています