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プロのレシピ 2018.07.09

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人気シェフのとっておき「ニッポン食材」活用レシピ★
あんずとスペアリブの白ワイン 煮込み セロリのアクセント

日本には、こだわりの生産者が情熱を込めてつくる素晴らしい食材がたくさんあります。その誇るべき食材をクローズアップ! 人気店のシェフがとっておきの「ニッポン食材」と、その活用レシピを教えます。今回はフレッシュなあんずを使ったスペアリブの脂をさっぱりと味わえる一品です。

JAながののあんず

果肉はジャムにもコンポートにも。生食用の品種にも注目高まる

あんずの産地として知られる長野県。北部の千曲市が生産量の6割を占 めている。県内で生産されているあんずの主流は6種類。その中で最近、 品種ウェイトが高まっているのがハーコットという品種。あんずは酸味 が強いため、ジャムやコンポートに加工されることが多いが、ハーコッ トは酸味より甘味が強く、生食に向いている。「あんずの収穫期は1週間 ~10日くらいしかないため、店頭に並ぶ期間が限定されてしまう。県内 でも知っている人は知っているという程度ではないでしょうか」とJAながの営農経済部の竹内章氏。ジャムやコンポートだけでなく、料理への 活用も期待される。あんずの旬は6月中旬~7月中旬の約1ヵ月。

■全農長野 僕らはおいしい応援団(http://www.ja-town.com/shop/f/f0)

あんずとスペアリブの白ワイン煮込みセロリのアクセント

あんずは酸味の強さから加工されるこ とが多いが、ここではその酸味を活かし、 調味料としての役割をもたせた。豚ス ペアリブと煮込むと、濃厚な脂やコクも さっぱりと食べてもらえる。ただし、生 のみずみずしさも魅力にしたいため、半 量は仕上がりの段階で加える。
●参考売価2200円/原価660円

■材料(4人前)
豚スペアリブ…800g
塩・黒胡椒…各適量
あんず…4個
白ワインビネガー…30ml
白ワイン…300ml
チキンブイヨン…600ml
砂糖…10g
セロリ(5cm長さに切る)…4本

■作り方
1 豚スペアリブに塩、黒胡椒をふり、油を熱したフライパンでポワレし、表面がカリカリになるまで香ばしく焼く。
2 あんずは半分に切り、種を取る。そのうち、2個分は白ワインビネガーをからめておく。
3 圧力鍋に白ワイン、チキンブイヨン、砂糖、セロリを入れて火にかけ、①のスペアリブ、残りのあんずを加える。沸騰させてアルコール分を飛ばしながらアクを出し、アクを取り除いてからフタをし、圧力がかかったら弱火にして15分ほど煮る。
4 煮込んだら火を止め、圧力が落ちてからフタを取り、白ワインビネガーをからめたあんずを加えて5分煮込む。
5 器にスペアリブとあんずを煮汁ごと盛る。

「あんず」を活かすPOINT
◦ あんずの酸味を調味料にし、煮込みの最初に加える
◦ 具材としてのあんずは最後に加え、フレッシュ感を残す

【シェフ紹介】
オーベルジュ エスポワール(長野・蓼科)オーナーシェフ・藤木徳彦氏

1971年、東京生まれ。高校卒業後、蓼科 高原のオーベルジュで修業。肉や魚、野菜 の卸業を経験したのち、1998年に『エス ポワール』をオープン。現在、NPO法人 日本ジビエ振興協議会代表。2013年には 内閣府の「地域活性化伝道師」に任命された。
その土地に泊まり、土地の食材を使った 料理を楽しませる“オーベルジュ”。藤木 シェフには地元の食材を使えばオーベル ジュが成立するという考えはない。食材 がどのように生産されているのか、生産 の現場に踏み込み、生産者との信頼関係 を築きあげたうえで自身の料理に昇華す る。野菜でいえば、一年を通して、スタッ フ総出で作業を手伝いながら、成長を見 守り、収穫を迎える。そうして売るため の野菜ではなく、家族のために作る野菜 を自店のために確保する。あんずは地元・ 信州でほんの一時出回るもの。地元なら ではの完熟に近いものを使い、煮込み料 理に。「あんずのフレッシュ感を残して仕 上げたい」と半量は煮上がり直前に加える。
『オーベルジュ エスポワール』は、自然豊かな蓼科の地で、長野の食材を中心に季節感あふれるフランス料理を提供するオーベルジュ。年間を通して楽しめるジビエ料理にも定評がある。
■住所/長野県茅野市北山蓼科中央高原
http://www.auberge-espoir.com//

※月刊「近代食堂」2016年8月号に掲載した内容を再編集しています