新型コロナの影響拡大と、飲食店にできること 【近代食堂3月号編集後記より】

******近代食堂3月号 編集後記より(一部改稿しました)********


 中国・武漢で集団感染が報告され、現時点で37の国と地域で感染が確認されている新型コロナウイルス感染症(COVID―19)。中国では飲食店でのグループでの食事を禁止する通達がなされ、街から人影が消えている光景がニュースやSNSで映し出されました。


 報道によると、訪日予定だった中国人観光客のキャンセルが、3月末までに少なくとも40万人にのぼる可能性があるとのこと。昨年日本を訪れた中国人旅行者は950万人以上にのぼり、海外からの旅行者全体の3割を占めているといいますから、インバウンドへの打撃が非常に懸念されます。

 加えて、国内でも各種イベントの延期や中止がここにきて相次ぎ、皆さんの身近にも影響が広がっていると思われます。

 すでに厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染拡大により業績が悪化した飲食店を対象とする特別融資を発表していますが、これ以上感染が広がらないことと、経済への影響が一刻も早く終息に向かうことを祈るばかりです。


【新型コロナウイルスに関する相談窓口(日本政策金融公庫)】


 特効薬がないこと、高齢者を中心に基礎疾患を抱える人が重症化していることなどから、感染への恐れを抱く空気感も、街や学校、職場など、いろいろな所、いろいろな場面で感じます。

 不特定多数の人が集う飲食店でも、働く人の気持ちに全く揺らぎがないとは言い切れません。「全然平気」という人もいれば、心の中でモヤモヤを抱えている人もいるはず。経営者や店長は、正しい見識をもちつつ店の方針、対策を打ち出し、心理的ケアも含めて従業員に気をかけることが求められます。

 新型コロナウイルスの予防は、インフルエンザと同じく正しい手洗いや咳エチケットの徹底にあると政府の基本方針にあります。

 ある店で聞いたところ「飲食店で習った手洗いの方法を普段も心がけているので少し安心です」というアルバイトの方もいました。



 飲食店というビジネスは固定費がかかり、食材や人材を常に確保しなくてはならないため、今回のような事態には弱いところがあります。震災後の自粛ムードや、古くはBSE騒動の時もそうでした。

 一方で、宅配や通販、テイクアウトなど販売チャネルをたくさん持つこと、オンラインでの情報発信を増やすことで、事態が収束した時の集客を高めることなど、今できる、考えられる対策はいろいろあります(宅配、テイクアウトにつきましては次号4月号で特集します)。


 ただそれらを対策を考える上の前提として、飲食店のプロとしての自覚を今こそ発揮すべきです。私たち飲食店は衛生管理のプロという一面もあります。そして他人に親切にしてあげたい、優しくなりたい、という気持ちをもちつづけ、それを多様な形で表現できるサービスのプロでもあります。

 もしいま営業を続けているお店なら、今まで以上に衛生管理を強化するチャンスです。また集客が落ちている時でも、こんな時でも仮にお客様が来てくださっているなら、目の前のお客様に満足していただけるよう全力を尽くすことが、こんな時こそ大切ですし、後に生きてきます。

 不安や不透明感がある今こそ、飲食店の「本領」に集中し、この難局に立ち向かっていきましょう。


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近代食堂では引き続き、新型コロナウイルスの影響や対策について、誌面やWebにて情報をお届けいたします。



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