コーヒースタンド開業を目指す前に知っておきたい8のこと 資金と資格はどうする?

by Asahiya Publishing

公開日:2021.8.19

個人でコーヒースタンドを開くには、物件探し、資格、資金調達、メニュー決め……など、クリアすることがいっぱい!“やるからには失敗したくない”にお応えすべく、カフェやコーヒーに関する本を多く出版してきた旭屋出版の編集部が最低限おさえたいポイントをまとめました。

監修/(有)FBCインターナショナル 代表取締役 上野 登

5、店舗工事

店舗工事については、設計事務所や工務店などに、設計・施工依頼を行う場合が多いですが、タイル貼りや壁塗りなど、できる部分は自分で行うことでコストダウンが望めます。ただし、自身がどういう店を出したいのか、またオペレーションのイメージを明確に描けていなければ、設計士も図面を書くことができません。

お客に笑顔であいさつする、オーダーを受ける、コーヒーを作る、お金を受け取って手渡す、見送る……入店から退店までの一連の流れを細部までイメージし、そのうえで、マシン、シンク、冷蔵庫などの設備類をどういう配置にすれば自分が一番動きやすいのかを考えましょう。その際は、これまで修行してきた店の経験則はもちろん、成功している店、失敗している店をできるだけ多くまわるなどしながら多くのヒントを得るとよいでしょう。

大手コーヒーチェーン店もオペレ―ションは考え抜かれているので、アイデアにつながる部分は多いですよ。くれぐれも、お客に自慢のマシンを見せたいとか、アートを描いている姿をみせたいなど、見た目のよさばかりにとらわれて、隠しておきたい冷蔵庫が客席を向いているとか、肝心の導線が悪いといった事態を招かないように注意しましょう。

6、設備/什器・備品

ここでも、最初の事業計画が非常に重要になります。まずは、エスプレッソをメニューに入れるかいれないのか、開業後に気が変わってマシンを入れたいと思ったけど、設置スペースがなく、家庭用のものしか入れることができなかった……これはNG。コーヒースタンドでエスプレッソを提供するなら、プロ用の2連式以上のマシンは必須。また、店の規模、売上げをきちんと計算したうえで、余裕をもった設備を導入することが必要です。

たとえば1日何杯のラテを売らなければならないのかによって、ストックするミルクの数と冷蔵庫の大きさは変わってきます。細かいことを言えば、牛乳の配達が何日ごとなのかによっても、必要な冷蔵庫の容量は違ってくるでしょう。よくあるのは、製氷機のサイズを見極めきれず、氷が足りなくなって夏場にアイスメニューを満足に出せないという話。マシンやグラインダー同様、製氷機などの大型で高価な機器も、あとから追加導入するのが難しいもの。反対にカップや、備品のロゴ入れなど、あとから付け足せるものはどうにでもなるので、メインの設備については最初にしっかり検討を重ねましょう。

7、メニュー構成

お客のニーズや期待を無視して自分が出したいメニューだけを置くというのは、失敗するコーヒースタンドの典型的なパターン。たとえば富裕層の年配客が多いエリアに、浅煎りのエスプレッソだけを置いてもお客はこないでしょう。彼らが求めているのは、丁寧に淹れた深煎りのドリップコーヒー。

とはいえ、自分のコンセプトを無視して売れるメニューだけを置くというのも間違いです。たとえ損することがあっても「自分の店の軸はスペシャルティコーヒーなのだ」ということであれば、それは置くべきメニューです。売れないものを置き続ける、それもオーナーに必要な勇気。メニュー構成はバランスが大事なので、売れ筋とそうでないものがあってもよいでしょう。

豆の仕入れについて考えるべきは、いかにしてロス率を減らすかということ。基本、バルブ付きのアルミパックに梱包されたコーヒーであれば、開封さえしなければ半年は持つでしょう。自分で味をとれないバリスタは、「1ヵ月で味が落ちますよ」とロースターに言われるままに廃棄してしまうことも。本当にダメなのかどうかは、自分の舌で判断するべき。バリスタとして必要最低限のスキルを磨くことも忘れないようにしましょう。

8、宣伝・販促

Facebook、Twitter、ブログ……など、今は昔と違っていろいろな宣伝ツールがあります。ただ、SNSやブログでつながっている人たちは言われなくても店に来てくれるでしょう。若干の新規客を誘導する手段になったとしてもその人たちが固定客になるとは限らないし、これらのツールに期待しすぎるのもよくないです。販促ツールとしての割引チケットやスタンプの配布も、自分の店を支持してくれるお客が望んでいるのであれば行ってもよいでしょう。ただ、世俗的なコーヒースタンドではなく、“隠れ家的な名店”といったイメージや満足感をお客に与えたいのであればこれらの手段は使わないほうが賢明。

また、ある程度の店舗規模がないと難しいかもしれませんが、店をイベントスーペースとして提供するのは宣伝・販促の方法として有効な手段。たとえば地元のアーティストを呼び、楽器演奏の場やギャラリーとして貸し出し、その際にはワンドリンク制を設けましょう。コーヒーの味を知ってもらうきっかけになるほか、店全体のイメージアップにもつながるでしょう。

コーヒースタンドは比較的少ない投資で開業できる!

開業するのに比較的少ない投資で済むのがコーヒースタンドのメリット。抽出器具さえあれば、5坪程度の小規模店舗でも開業ができます。おいしいコーヒーを届ける拠点としてのコーヒースタンドは有望なビジネスチャンス。開業を考える人に役立つヒントになったのなら幸いです。

「COFFEE STAND コーヒースタンド ー開業と経営、スタイルとノウハウー」に掲載した内容を再編集しています

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