和食の新・コース料理
低原価会席の魅力づくり教本
遠藤十士夫
売り値を抑え、原価を抑えながらも、魅力を落とさない会席料理やコース料理が求められている。日本料理界の指導者の遠藤十士夫氏が、3000円~6000円のコース料理を例に原価を抑えて魅力を高める勘どころを解説。
- 判型
- A4判
- ページ数
- 120ページ
- 発売日
- 2011/04/01
- ISBN-13
- 9784751109212
- 備考
- 定価
- 1,980円(税込)
デフレ経済が続く中、多くの割烹、和食店、居酒屋、料理旅館などでは、売り値を抑え、原価を抑えながらも、魅力を落とさない会席料理やコース料理が求められている。日本料理界の指導で定評のある遠藤十士夫氏が、3000円~6000円のコース料理を例に原価を抑えて魅力を高める勘どころを解説。掲載。
◆春の会席コース 春がす美の一献(参考売価)5000円
■このコース料理の特徴と狙い
(略)春においしいものには、赤貝やトリ貝、サザエなど貝類がありますが、貝類は原価が高く、売値を5000円と考えるコースの原価を3割とすると、かけられる原価は1500円ほど。1種類で300円もかかるような食材は使うことが難しくなります。
そこで、お造りは、名残の魚に目を付けました。このお造りで使ったシマアジやバチマグロは、この時期は名残で、味がよい割には価格が安いのです。(略)
■料理の原価を抑えるポイント
(略)
・椀
大きめの大根とともに、活けの才巻き海老を入れました。車海老ですと1本380円しますが、それよりやや小さい才巻海老なら半額。さらに、この海老の頭の方や尾の身は、前菜に活用します。
・前菜
華やかさ、にぎやかさを出すために、9品を盛りました。山のもの、里のもの、海のものをバランスよく使い、さまざまな味わいや食感であることが大事です。ここでポイントになるのは、緑色が美しい、走りのエンドウ豆と早走りの空豆。海老は、お椀で説明したように、椀種の海老と共用します。(略)
◆秋の会席コース 名残の白秋(参考売価)3000円
■このコース料理の特徴と狙い
このコースは、白子の小鉢とイクラご飯をご馳走として位置付け、原価のかけ方にメリハリのある献立です。小鉢と食事と甘味以外の料理は、野菜や、養殖ものの魚や規格外のサイズで安くなっている魚を使って、極力原価を抑えます。(略)
■料理の原価を抑えるポイント
・椀
山伏茸は決して高くない栽培きのこ。あまり普及していないので、珍しさをポイントにして使うことができます。出汁の質をちょっと落とし、少し原価を下げました。新種の野菜は次々と登場しています。野菜は比較的安いので、取り入れないのはもったいないことです。
・焼物
300g以下のタイは、姿焼には使えず、すしにもならないため値段が安いものです。それを使って焼物にしました。
(略)