関西割烹を生み出した味と食文化
大阪料理
大阪料理会 監修
“食いだおれ”として知られる食都・大阪。実は全国のグルメを凌駕した関西割烹のルーツは大阪にあるといえる。その大阪料理の歴史から今に発展していった料理を掲載。単なるレシピだけでなく文化、その精神性まで探る初の大阪料理の決定版!
- 判型
- B5判
- ページ数
- 212ページ
- 発売日
- 2017/09/22
- ISBN-13
- 9784751113011
- 備考
- 定価
- 3,850円(税込)
目 次
「序に代えて」 畑 耕一郎 ※本記事の最後に掲載
「浪速割烹の条件」
第一章「大阪料理とは」
第二章「戦前〜昭和 大阪料理五十選」
第三章「平成 大阪料理五十選」
第四章「大阪料理と料理屋に関する資料」
第一章「大阪料理とは」 文/上野修三
一、日本料理 難波に発す
二、大阪料理の変遷
三、日本料理と三都の料理
四、近代三都の料理と喰い味
五、喰い味と大阪淹汁そして浪速魚菜
六、料理屋の流れ
七、明治時代の浪速の大阪料理屋
八、大阪料理のかつての名店
九、大阪の味について
第二章「戦前〜昭和 大阪料理五十選」 選/上野修三、文/笹井良隆
【割 鮮】
鱸の洗い/黒鯛の洗い/すすり鱠/鯉の洗いと鯉の細造り/水貝/鯛の生ちり/烏賊さし/鱧ちり/鯖生鮓
【汁 物】
餅鯨白味噌汁/船場汁/鯛の潮汁/土瓶蒸し/天王寺干蕪汁
【焼 物】
泥鰌味噌蒲焼き/豆腐田楽三種/伊佐木魚でん/真魚鰹味噌漬け/鱸塩焼き/焼き松茸/海老の鬼殻焼き/鯛の山椒焼き
【煮 物】
鯛のあら炊き/鰊昆布巻/合鴨ロース蒸し煮/赤舌鮃煮凝り/具足煮/赤嬰すっぽん煮/鯉濃汁煮
【蒸し物】
徳利蒸し
【揚げ物】
目板鰈煮おろし/菱蟹甲羅揚げ/白洲海老と鯊天麩羅
【和え物】
からまぶし/若牛蒡白和え
【酢ノ物】
鰯煮鱠/鱧皮ざくざく
【鍋 物】
牡蠣土手焼き/合鴨鍋/ハリハリ鍋/おでん
【大阪鮓】
バッテラ鮓/蒸し鮓/雀鮨/筥鮓
【御飯物】
牡蠣雑炊
【麺類】
煮麺/信田うどん/かやく御飯
【漬 物】
大阪漬
第三章「平成 大阪料理五十選」 選・文/畑 耕一郎
雉羽太冷や汁 味噌コンソメ仕立て/雉羽太頭煮凝り/蚕豆五種盛/新玉葱の共味噌焼き/新玉葱の湯生醋 梅醤油/鯛饅頭玉葱包み/秋鱧と鱧塩辛の焙烙焼き/鱸 生卵ゼリー/毛馬胡瓜炒め射込み 奈良漬風味/毛馬胡瓜と鱧の白湯酢/無花果の共葉焼き/合鴨蒸し煮 柿味噌のせ 豆腐ソース添え/枝豆淡雪羹 海胆添え/小鯛の野崎焼き/真魚鰹と天王寺蕪の風呂吹き/梅密煮(酒粕射込み)/鮎並小龍包仕立 薬味 美味出汁/あわび飯 山椒あん/あこうの昆布締め~青梗菜,岩茸,山葵,梅醤油/高野穴子/秋鱧印籠煮/牡蠣三種盛/道明寺蒸しの泉州蕗餡掛け/馬場茄子 茶碗蒸し 泉州じゃこ海老出汁のジュレ/くらわんか牛蒡汁/くらわんか鮓/木積筍摺り流し 大阪若布葛豆腐/田芹と合鴨ささみ白和え/足赤海老古酒漬け/焼栗豆腐/寒鯛と秋茸 生白子醤焼き/甘鯛の慈姑鱗見立揚げ/河内蓮根の摺り流し 大阪蜆熟成味醂漬け餡掛け/浅利と新玉葱のおろし酢和え/秋鰻と浪速野菜含め煮/高足蟹と旬菜のミルク豆腐和え/鱧と蜆の土瓶蒸し/羽曳野無花果の舌鮃巻き/きんぴら若牛蒡信太巻/立春乃頃 東風凍解/香茸温鮓/豆乳 芭葉露亜風/干し筍 あん肝きんぴらと豆乳白酢掛け/手亡豆摺り流し 牡蠣饅頭/秋葵の飛龍椀/栄螺と和蘭辛子のごま酢味噌/三島独活と伊佐木 若草変わり巻き/河内蓮根雲子饅頭/赤芋茎真蛸 吸い酢/白子湯豆腐 ふぐのヒレ艶煮
第四章「大阪料理と料理屋に関する資料」
文/笹井良隆
近世からの大阪料理への考察
資料1 料理の変遷
資料2 大阪の名物
資料3 大阪の旅館と料理店
資料4 上方料理
資料5 大阪
資料6 和食道楽
後記に代えて 上野修三
大阪料理会 会員一覧
本書を読むにあたって ・本書は、複数の筆者が執筆しているため、同じ材料や料理でも、筆者によって異なる呼び名の場合があります。
・作り方には分量を記載していません。各自調整し、好みの味わいに仕上げてください。
・材料は主材料を中心に記し、調味料などの副材料は、特殊なものを除いて記載していません。
・料理で使用する器具は、各店での呼び名で表記しているため、同じ器具でも違う名前になっている場合があります。
・「節昆布だし」は、かつお節と昆布から取った合わせだしを指します。
※「序に代えて」
日本料理が世界の国々で評価を得、2013年には「和食:日本人の伝統的な食文化」としてユネスコ無形文化遺産登録がなされました。しかしながら、グローバル化を目指す現実がある一方、一部ではその伝統が乱れているのも残念ながらあるのです。
そこで私達大阪料理会の面々は大阪の料理屋としての「食」はどうであるかを次のように考えたいと思います。つまり、料理は食材第一義であること、喰い味であること、日本土産の食材を用いること、昆布味を主とすること、大阪人特有の始末の精神がみられること。この「五つの調理心得」を基本に、大阪で日本料理を提供するプロの料理人がしがらみの垣根を越えて集い、古き良き伝統料理を知る先達に知識、技術を請い、新しい革新的な料理法を加え、より完成度の高い料理を提供できることを願って大阪料理会は平成二十三年一月に第一回目の研修会を立ち上げたのでした。
これまで、月一回の定例会で披露された料理は五百余品を数えるに至りました。これを会員のみが有するだけではなく、全国で日本料理の料理人を務める人、志す人、また一般の方々にも共有してもらいたくこの度上梓する運びとなったことを大変嬉しく思っております。これからも会員一同、研鑽を重ね、「食の街・大阪」の認識を高めるべき道標の会に成長することを願ってやみません。最後になりましたが「大阪料理会」の運営にご協力頂いた企業・団体機関様ならびに、発刊を現実のものとして頂いた「旭屋出版」様に対し御礼申しあげます。
「大阪料理会」会長 畑 耕一郎